群馬県の昨年度の児童虐待相談は1909件 前年より減少したが高水準のまま
池田知之 (2022年5月31日付 東京新聞朝刊)
群馬県内の児童相談所に寄せられた2021年度の児童虐待に関する相談件数は1909件に上り、過去2番目に多かった実態が県の調査で分かった。相談件数は2020年度まで12年連続で過去最多を更新し続け、今回は最多だった2020年度の2286件に比べて16%(377件)減少したが、依然として高水準を続けている。
被害者の8割は小学生までの子ども
相談内容の内訳では、言葉による脅しや子どもの前で配偶者らへの暴力や暴言など「心理的虐待」が全体の62%に当たる1192件(前年度比190件減)。次いで、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が22%の414件(同125件減)、食事を与えなかったり、不潔なまま放置したりするなど「ネグレクト」が14%の273件(同57件減)、「性的虐待」が2%の30件(同5件減)だった。
主な虐待者は、実母が全体の45%に当たる850人、実父が42%の795人、実父以外の父が8%の158人など。
虐待を受けた子どもの世代別は、小学生が全体の33%の633人、3歳から未就学までが27%の506人で、2歳までが21%の392人、中学生が14%の265人、高校生などが6%の113人。相談の経路別では、警察などが全体の34%の646人、近隣や知人が20%の390人と続いた。
2020年度はコロナ禍で通報が増加
2020年度は新型コロナウイルスが感染拡大し始め、生活様式が変化。家の中で過ごす時間が増え、近隣家庭から怒鳴り声が聞こえるなど虐待を疑う通報が増え、相談件数は過去最多となったとみられる。
2021年度の相談件数は2020年度より減ったが、コロナ禍前の2019年度と比較すると110件(6%)の増加。群馬県生活こども部は「必ずしも全体としては大きく減ったとは言えない」と指摘し、児童虐待防止条例を推進していくとしている。虐待相談は全国児童相談所虐待対応ダイヤル=189=などで受け付けている。
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