3.2%どころか6.9%…「赤ちゃん物価指数」は消費者物価指数よりも上昇 育児中のエコノミストが粉ミルクなどの値上げから独自算出
原田晋也 (2023年6月27日付 東京新聞朝刊)
赤ちゃんを育てる世帯の負担感を広く知らせようと、エコノミストが独自に「赤ちゃん物価指数」をつくった。総務省が23日発表した5月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が前年同月比で3.2%のプラスだったのに対し、赤ちゃん物価指数は6.9%上昇。物価高の影響をより強く受ける状況を示した。
比較可能な91年以降で最高の伸び率
指数をつくったのは浜銀総合研究所の遠藤裕基氏。公式の消費者物価指数算出のため、総務省が調べている582品目の商品やサービスの価格動向のうち、粉ミルク、乳児服、紙おむつ(乳幼児用)、人形、玩具自動車の5つを選び、合成した。離乳食はそもそも消費者物価の調査項目にないため入れていない。
円安や原材料高を受け、粉ミルク、紙おむつ、玩具自動車の値上げが相次いだ結果、赤ちゃん物価は消費税増税の影響があった2015年1月以来の高い伸び率だった。必需品とは言えないおもちゃを抜いた指数では6.0%増と、比較可能な1991年以後で最も高い伸び率だった。
児童手当は物価に連動せず実質目減り
遠藤氏は昨年長男が生まれ、買い物のたびに赤ちゃん関連商品の値上がりを実感。データで示すことで負担感を広く知ってもらうきっかけになると考え、試算を思い付いたという。
遠藤氏は「思った通り、負担感はかなり強まっていた。児童手当はあるが、物価に連動して増えないので実質目減りしている」と指摘。今後も指数の伸び率は上がるか高止まりする見込みといい、「しばらくは赤ちゃんがいる世帯にとって大変な状況は続きそうだ」と話した。
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