大学進学で一人暮らし、準備費用はいくら? 上京する私大生は70万円超… 家具・家電のサブスクも人気に

神谷慶 (2023年3月23日付 東京新聞朝刊)
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月額定額制で人気の無印良品の家具(良品計画提供)

 進学や就職で多くの人が新生活を始める春。物価高の波が家計を圧迫する中、学費や引っ越し、生活必需品の購入などで出費はかさむ。最初にかかる費用を抑えられ、家具や家電を毎月定額で利用できる「サブスクリプション(サブスク)」も広がっている。

さらに入学金や授業料で計200万円

 東京の多摩地域にある私立大1年の女子学生(19)=愛知県刈谷市出身=は1年前、一人暮らしを始めるため、生活用品を新品でそろえた。オンラインを含む大学の授業に使うパソコンは約18万円、ベッドは3万円…。合計してみると、ざっと76万5000円かかっていた。「豪華な家具を買ったわけでもないのに。簡単に出せる額ではないですよね」と驚く。「両親が頑張って働いていることは知っているから、申し訳ないです」とも。

表 愛知県から昨春上京した大学生の生活用品購入費の例 合計76万5000円

 入学金や年間の授業料などは計200万円近くに上った。このほかに生活用品の出費がのしかかる。家賃は1Kのマンションで月7万5000円。日々の生活は親から月5万円の仕送りをもらい、アルバイトの収入と自炊でやりくりしている。

 母親(56)は「共働きでなければ、東京の私大には、まず行かせられなかった。子どもの夢はかなえてあげたいけど、2人目と3人目の子どもも同じようにしてあげるのは厳しいかもしれない」と打ち明ける。

 学費や生活用品の費用は、出生時から掛けていた学資保険の満期保険金や、小学校卒業まで月3万円ずつ積み立てたり、お年玉をためたりした娘名義の口座から支払ったという。

賃金は上がらないのに授業料は上昇

 出費を抑えようと、学生寮に入る人も多い。

 この春、東京都千代田区の私立大に入学する愛知県安城市の女性(19)は「ベッドや机は個室に備え付けてあるから出費が抑えられる。東京は家賃が高い。兄も私大なので親の負担を減らしたかった」と話す。

 生活用品の出費を抑えようとする背景には、学費負担の重さもあるようだ。

 1990年代以降、日本の平均賃金はほとんど上がらない中、大学の授業料は年々上昇。文部科学省によると、2021年度の私立大の初年度納付金は実験実習料などを含めて平均で148万円に上った。「全国大学生活協同組合連合会」の2022年春の調査でも、入学金や学費、住まい探し、生活用品購入など、受験から入学までにかかる費用の合計は、私立大の下宿生の場合で246万5200円に上り、10年前の12年に比べ、8万円近く上昇した。

無印良品サブスク 64点で最大4年

 こうした中、無印良品を展開する「良品計画」(東京)は2月、2021年から始めた家具の月額定額サービスのアイテム数を倍増した。現在ベッドや収納家具など64品目を扱い、オンラインで受け付けている。年単位の契約で最大4年まで使え、期間満了後は返却するか買い取るかを選べる。

 商品はいずれも新品で、4年契約の場合、シングルサイズの「脚付(つき)マットレス」とオーク材のデスクは月各700円、オーク材のラウンドチェアは月400円。担当者は「『所有ではなく利用』という選択肢を提示することで、廃棄物の削減につなげるだけでなく、経済的に困難な学生の役に立ちたい」と話す。

 関東、関西の7都府県で家具・家電のサブスクを手がける「CLAS(クラス)」(東京)は約1200もの商品をサイトで扱う。1カ月単位から借りられるのが特色で、新生活が始まるこの時期は、特に冷蔵庫や洗濯機の需要が高いという。

 クラスが1月末、20~40代の1000人から回答を得たウェブ調査では、値上げラッシュなどで、この1年間に家具・家電の購入を見送った経験がある人は49.8%に上ったという。

 広報の小林美穂さんは「若い世代ほど、環境などに配慮した『エシカル消費』に関心を持つ人や、必要な物だけを所有する『ミニマリスト』志向の人は多い。家具・家電のサブスクを使ってみたいという人は増えている」と説明する。

専門家のアドバイス「サブスクか中古品購入、卒業後の進路で見極めて」

◇教育費問題に詳しいファイナンシャルプランナー 山内真由美さんの話

 新生活の初期費用をできるだけ抑えるため、サブスクを活用するのは一案。最低限の設備でよければ、家具・家電付き賃貸物件を選ぶのもよいでしょう。

 身軽でいられること、廃棄の手間がなくエコなこと、新しくおしゃれな製品が選べることも利点。卒業後に地元に戻る人には特に向いています。

 ただ、卒業後も一人暮らしを続けるなら購入した方が安いケースが多く、中古品を買う選択肢もあります。トータル費用を試算し、損得を見極めてください。

 子どもがゼロ歳の時から、18年後に向けて備え始めるのが理想。児童手当を使わずためておくと計約200万円。さらに、預貯金や学資保険、少額投資非課税制度(NISA)などで、毎月少しずつ積み立てて準備するのがお勧めです。

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