都立高入試の「女子に不利」な男女別定員、ついに全廃 2024年春から成績順で合格
2022年度から段階的に撤廃
東京都の高校生の就学計画を決めるために私立高校側と話し合う「公私連絡協議会」が都庁であり、正式に決定した。都教委の浜佳葉子教育長は「今後も引き続き生徒の適切な進学機会の確保に努めたい」と述べた。
都教委は2021年9月、男女別定員を段階的に撤廃する方針を発表。性別に関係なく成績順で合否を決める枠を2022年度入試で定員の1割、2023年度は2割と広げた。
直近の2023年度は男女別定員がある108校のうち、9校で女子の合格最低点が男子を上回り、その差が最大で51点の学校もあった。
私立高の数は女子74、男子30
都によると、全国的に男女別定員の廃止が進む中、都内は女子の私立高が74校、男子が30校と差があり、都立高で男子の進学先を確保する目的などから制度が残ったとされる。
男女別定員は戦後の共学化に伴い各地の公立高で広まり、都教委は1950年度に導入。当時、女子は男子に比べて教育機会に恵まれずに学力差があったため、女子の入学枠を確保する狙いがあったという。
受験生や塾は撤廃を歓迎「やっとか」
「得点順なら納得できる」
「成績順で合否を決めるのが妥当。撤廃されるのは良いと思う」。長女(15)が都立高を受験予定の板橋区の母親は話す。長女は意識していないというが、母親は「倍率を見ると女子の方が高い学校が多い。得点順なら、もし残念な結果でもまだ納得できる」。
別の区の中3男子(15)の母親も「やっとか、という感じ。頑張っているのは男女問わず同じ。ジェンダー平等が求められる今、制度も公平にしないと」と撤廃を支持。男子が入りにくくなる懸念には、息子も「男子のみが優遇される制度はなくした方がいい」と話しているという。
中堅校で女子が増えそう
都立高の受験指導に40年以上携わる学習塾「田進(でんしん)ゼミ」(大田区)の木暮太郎塾長は「もっと早く廃止すべきだった。『女子は頑張れ』と指導してきたが、今後は性別に関係なく、普通の指導ができる」と話す。
木暮さんによると、特に中堅校で女子の倍率が高い傾向にあり、ボーダーラインにいる女子生徒にランクを一つ下げるよう勧めたこともあった。
今後の影響について、「中堅校では女子が増えるだろう。学校によっては男子が減って部員を集めづらい部活が出てきたり、経営が厳しくなる私立の女子校が増えたりする可能性がある。女子校の共学化の流れも加速しそうだ」とみている。
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