同性愛者、ダウン症、自閉症…子どもの個性と家族のかたち 映画「いろとりどりの親子」
◇『いろとりどりの親子』予告編
米国のドキュメンタリー、2018年11月17日公開
米作家アンドリュー・ソロモンさんが10年にわたって、価値観や個性の違いに葛藤を抱えて暮らす300組以上の親子を取材したベストセラー本が原作。ドキュメンタリーが専門のレイチェル・ドレッツィン監督が制作した。映画には6組の家族が登場し、親がいろいろな治療を試みたり、過保護に育てたりするものの、子どもはありのままの自分を受け入れ、仲間との出会いを通じて社会とつながっていく様子に迫っている。
同性愛者であるソロモンさんの家族も登場する。ソロモンさんの母親は、息子が同性愛者という事実を受け入れられないまま亡くなった。そのことでソロモンさんもうつ病になって苦しんだ末、父親と和解する姿を伝える。「親の愛はずっと存在し、幸せの形は無限にある」と話す。
今月7日、国会内で開かれた試写会には、自民党の野田聖子衆院予算委員長ら国会議員が参加した。
作品は93分。17日からの上映は東京都新宿区の新宿武蔵野館など。以降は全国で順次公開される。問い合わせは配給会社ロングライド=電話03(6264)4113=へ。
◆ドレッツィン監督は3児の母 「親がすべき最善のこと」は?
「いろとりどりの親子」の上映に合わせて来日したレイチェル・ドレッツィン監督に聞いた。
-撮影のきっかけは。
「原作を読み、登場人物の人間性にひかれ、映画化したいと強く思った。登場する家族とは撮影に入る前から頻繁に会い、時間をかけて信頼関係を築いた」
-何を訴えたいか。
「私たちは障害を否定的にとらえ、不幸と思い込みがち。自分と全く違う外見や行動をとる人が近くにいると最初は気まずく感じたりするが、相手をよく知れば、想像以上に共通点があることに気づく。人は多様性と違いによって豊かになる、ということを明白にしたかった」
-自身の生活にも変化をもたらしたか。
「3人のティーンエージャーの母として、親がすべき最善のことは、彼らをありのままの姿でいさせることだと再確認した。彼らをコントロールしたいという願望を手放して気持ちがすっきりした。この映画は、その助けになった」
-日本の印象は。
「想像と違った。米国と比べて民族的には多様性が少ないと思うが、滞在中、私が会った人たちは排外主義を憂い、多様性を重視して社会を変えようとしている。取り組んでいる課題は同じだと感じた」
-世界に広がる排外主義の流れをどう思うか。
「社会が多様化するとそれに対する抵抗感も大きくなる。世界がどの方向へ行くのかは分からないが、一つ言えるのは、時計の針は戻せない。政治システムが現状に追い付くことを願う」
◇映画「いろとりどりの親子」公式サイトはこちら
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