不妊治療の保険適用 厚労省の意見交換会に「男性不妊」連載した記者が参加

中根政人、川田篤志 (2021年1月20日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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厚労省の意見交換会にオンラインで参加する東京新聞政治部の川田記者

 厚生労働省は19日、不妊治療の公的医療保険適用拡大に向け、経験者や支援団体などとの意見交換会をオンラインで開いた。東京すくすくで「男性不妊 僕がパパになるまで」を連載した東京新聞の川田篤志記者(39)も経験者として出席し、男性不妊に関する自身の経験や問題意識について説明した。

「男性が自分のことと思える情報発信を」

 川田記者は2018年に夫婦で検査を受け、自身に不妊の原因が確認された。自らの経験に基づき「不妊の原因の半分は男性側に起因する。多くの男性に自分のことと捉えてもらうような情報発信をお願いしたい」と要望した。

 他の出席者からは、不妊治療を中断すること、初めから子どもを持たない、といった選択肢も尊重される社会に向けた環境整備や、治療を決断する基準となる情報提供が必要との指摘が出た。

 三原じゅん子厚労副大臣は「さまざまな視点の話を聴けて大変参考になった。引き続き当事者から話を聴くことに努めていきたい」と強調した。

 意見交換会は26日にも開かれる。厚労省担当者は「(菅義偉首相の)トップダウンだったため、当事者の声を聴く機会がなかなか持てなかった」として、会の目的は不妊を巡る問題の全体像を把握することだと説明している。(中根政人)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年1月20日

当事者の要望と乖離しない政策を 川田記者が意見交換会で伝えたかったこと

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意見交換会の様子

実名で語る男性の当事者は少ない

 厚生労働省の不妊治療に関する意見交換会に、男性不妊治療の経験者として参加した。打診は昨年末。精子を作る機能が低下する病気と診断されてから手術、第1子を授かるまでの体験談をつづった2019年11月の連載「男性不妊 僕がパパになるまで」を読んだ厚労省担当者から声が掛かった。背景には実名で男性不妊を語る人が少ないこともあるという。

 最も確認したかったのは、政府が不妊治療の支援策に当事者たちの意見を反映させる意思があるかだ。以前取材した不妊治療中の女性から「参加できずに残念。短期間でヒアリングが終われば、当事者の要望と乖離(かいり)した政策につながっていくのではないか」と懸念する声を聞いたからだ。この日の会合では、厚労省に意見交換をわずか2回で終わらせないよう要望した。

 また、自らの経験に基づき「不妊の原因の半分は男性側に起因する。多くの男性に自分のことと捉えてもらうような情報発信をお願いしたい」と求めた。

首相のトップダウンに期待と不安

 菅義偉首相がトップダウンで進める政策決定に期待と不安が交錯する不妊当事者は多い。

 政権発足からわずか4カ月で、不妊治療の助成制度を拡充させ、22年度からの保険適用拡大に道筋を付けた。多額の治療費負担に苦しむ患者にとって朗報だが、期限ありきで進む検討に落とし穴はないか。今後、保険適用される体外受精などの「標準的な治療」を決める段階で、結果として患者の治療の選択肢が狭まる可能性も残る。

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川田記者の長女が生後4か月だったころ。不妊治療を経て、子育てに励んでいる

 不妊治療を巡っては、病院選びに悩む患者が多く、第三者機関による各病院の治療成績の開示など、経済的な負担軽減とは別に治療環境の改善を求める声も根強い。会合では三原じゅん子厚労副大臣から、当事者との意見交換を続けるという発言があった。「患者ファースト」の政策実現に向け、丁寧に意見を吸い上げていくかを今後も見守りたい。(川田篤志)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年1月20日

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