保育士資格を取った芸人 タケトさん 不妊治療で授かった待望の娘が待機児童になったので

(2022年4月17日付 東京新聞朝刊)

育児や家族とのキャンプについて話すタケトさん(伊藤遼撮影)

家族のこと話そう

「お父さんになるんだ」心音を聞き卒倒

 小学4年になった1人娘は不妊治療の末に授かった待望の子でした。信じられないくらいかわいかったです。娘が生まれたころにちょうど、お笑いトリオ・Bコースを解散し、一時収入が途絶える不安定な立場になったので、その分育児はちゃんとやらなきゃっていう気持ちでした。16年間トリオで好きなことやってきて、自分の判断で結婚して、子どもをもうけたのに責任感なさすぎだよなと。

 妻の妊娠中はお父さんになれるか、俺で大丈夫なのかってすごく不安でした。健康診断に付き添って、初めてエコーで赤ちゃんの心臓の音を聞いたとき、音が立体で迫ってきて「お父さんになるんだ」って思ったら震えてました。倒れたらかっこ悪いんで「ちょっとおなか痛いので横になっていいですか」とそのまま病室の床に寝ました。意識が薄れていく中で、先生が妻に「こういう男性、意外といるから責めちゃだめだよ」と言ってるのが聞こえ「あ、ばれてる」と思いました。その後も原因不明のにきびができたり、精神的に弱かったですね。

 都会育ちの娘には、自然の中でいろいろ体験をさせたいという気持ちがあり、よくキャンプに行きます。6歳までに火おこし体験した子は将来高収入になる、と聞いてやらせたり。千葉市内の小さな土地に小屋を建てて家族で泊まったりもしています。娘は泥遊びとかもずーっとやっていて、こんなに楽しむんだなあと見ています。

なぜ待機に?調べてわかった保育士不足

 保育士資格を取ったきっかけは、娘が待機児童になったこと。「なんで少子化なのに待機児童が生まれるの? 保育所をいっぱいつくればいいじゃん」と思って調べたら、保育士さんが足りてないんですよね。

 保育士の仕事についてもっと知りたいと思って勉強を始めました。1年勉強して一発合格。実技試験の「語り」は、「芸人なんだからトップの成績じゃなきゃ」と気合が入りすぎ、ももたろうの登場人物の声色を全部変えて本格的に演じてたら、まさかの時間オーバー。「うそだろ!」と思わず芸人のリアクションを取っちゃいました。でも、何とか合格できました。

 最近は娘に「パパって人気ないから写真撮ってくださいとか言われないよね」と突っ込まれます。なぜか3人組の芸人が好きで、コンビとかトリオでやるのが「お笑い」と思ってるよう。「パパも3人組じゃないと売れないよ」と言われたり、劇場で1人で立ってしゃべってる僕を見て、「もっとお笑いやったほうがいいよ」と言われたり。「父親の仕事見せなきゃ!」と思って劇場に来てもらいましたが、これでよかったんでしょうかね(笑)。

タケト

 本名・中村岳人。1976年、千葉県出身。「Bコース」を2012年に解散。翌年からピン芸人に。長女誕生を機に、民間の「ベビーサインパパアドバイザー」など育児系資格を取得。2020年1月には保育士試験に合格。DIYも得意で、YouTubeチャンネル「タケトfield」で公開中。

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