橋本聖子参院議員(後編) 子育て真っ最中の人が国政の場にいないとダメ〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉

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不妊治療へのケアが必要 痛切に感じた

 前編に続き、今回のリレーコラムを担当する参院議員の橋本聖子です。

 私は不妊治療をして3人の子どもを授かりました。私の場合は体脂肪率7~8%の体だったので、月経が何年もなく、出産は難しいと言われていました。そういう不妊治療への手当ての必要性というのも、その時痛切に感じましたね。不妊治療をするということ自体にうしろめたさがあったり、なぜ子どもができないんだと女性が責められたりするような時代でもありました。悩みを打ち明けることさえできない人もいたと思います。その後、原因は必ずしも女性にあるのではなく、男性側にあるケースもあるという認識が広がってきました。最近はようやく、夫婦そろって病院に行って不妊治療を受けるケースも増えてきましたよね。少しずつ前に進んできていることは、本当に喜ばしいことだと思います。

 ただ本当を言うと、もっとスピード感を持って進めたかったなっていうのはありますね。国を動かすっていうのは時間がかかることではありますが、緊急な物事に対しては迅速に対応ができているわけだから、その気になればやれるんですよね。私が10代の頃から、その時代を引っ張ってきた国会議員が「少子化待ったなし」「少子高齢化の到来に備えて準備をする」といった演説をしていたと冒頭で触れましたが、政治の世界はやはりまだスピード感が足りなくて、ずっと「待った」のままになっているんですよね。

 これはもう、とにかく国会議員が「えいや」と結束してやり遂げていくということと、多くの皆さんの声と一緒に動かしていくということしかないと思っています。国民の比率って男女一緒なんですよね。男女共同参画担当相も女性活躍担当相もやりましたが、私の考えとしては、ベテラン議員も重要ですけど、20代、30代、40代でしかも子育て真っ最中の人がしっかりと国政の場にいないとダメだと思いました。例えばいくら私が国会議員をやりながら子育てをしたと言っても、経験って忘れてしまうんです。あれだけ大変だったことが、過ぎてしまえば何をしていたのかなっていうぐらいに。子育てって必死になっているので、必死なことって意外と忘れるんですよね。なので、今を生きる、今大変な人がダイレクトで声を上げないとこれはダメだなと思っています。だからこそ、子育て真っ最中の人も政治に参画できるような仕組みが必要です。そういう意味で、クオータ制はすごくいいと思っています。

女性が政治参加しづらい「根本的な理由」

 国会議員になりたいと思っても、どうしても選挙活動がひとつの壁になりますよね。若い人がなぜ国会議員にならないのか、とか、なぜ子どもを産むことに躊躇するのかっていう問題意識をもって、課題を解決していかないといけないと思います。国会だけでなく、全ての市町村単位で女性がなぜ政治に参画しづらくなっているのか、あるいは、参画ができるようにするにはどうしたらいいかっていうことの根本的なところを考えていかないと、日本は、いつまでも女性国会議員が増えないと思います。

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 国会議員は朝も夜も忙しいイメージが強いと思います。自民党だと朝8時から部会もありますし、夜の会合も少なくありません。私の場合は、個人で契約したベビーシッターさんが家族のように受け入れてくださって、出張の時には泊まらせていただいたりして、何とかやってこられました。リタイアされたご夫妻やシニアの方に預ける制度を推奨している自治体がありますが、そういったかたちに近いですね。

 本会議や委員会は出席しなければいけませんが、子育て中はメリハリをつけて、何もかも無理することはないと思います。例えば、夜の飲みニケーションが大事だと言われることもありますけど、子育て中は参加が難しいことを理解してもらうべきではないかなと。朝の部会も、国会議員にとってはやっぱり鍛えられる場所で、自分自身を磨くためだとか、勉強のためには部会にできる限り行かないと、とは皆教えられるのですが、子育て中は人に預けてまでやる必要はないと思います。部会長のような責任ある立場なら出席は必要ですけど、一議員の立場であれば、代理で秘書さんに話を聞いてもらい、その情報を共有することができます。部会の場で発言はできないにしても、後からでも、あるいは人を通してでも、あるいは役人に直接でも、自分の意見は伝えられます。いろんなやり方があると思います。

孫が6人 ママより私のほうが体力ある

 やっとこの春、一番下の子が高校生になりまして、全寮制の高校に入りました。私の反省点ですが、振り返ってみると、この一番下の子は、特に、なかなか一緒にいてあげる時間がなかったなあと。ちょうど一番多感な時期というか、小学校の6年間は、私が参議院議員会長などをやるタイミングと重なって、運動会に行けない時もありました。一番見に来てほしい時にドタキャンになってしまって、上の子どもたちや周りの人が代わりに応援してくれたこともありました。子どもたちには、心はいつも通じているんだ、と思ってもらえるように努めていましたけれども、さびしい思いをさせたなっていう気持ちがあります。一番必要なときにいないことが多かったので、不登校になったこともありました。でもその間、できる限りいろんなところに連れていきました。一番下の子には、これから彼がやっていこうとしているスポーツに対して、助言やサポートをできる限りしてあげたい。これから埋め合わせをしなくちゃいけないなと思っています。

 夫には亡くなった先妻が遺した3人の子どもがいて、私には6人の子どもがいるわけですが、上の3人の子どもたちはすっかり大きくなってみんな結婚し、孫が6人になりました。ママたちより私のほうが体力があるので、遊ぶときはめいっぱい遊んでいます。

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当時小学4年の三女(右端)、幼稚園年長の次男(右から2人目)、幼稚園年少の三男(左手前)と=2010年11月、東京都内で

 最後に、次回コラムを担当される矢田わか子さんへの質問です。矢田さんは確か夫婦別姓ですよね。お子さんとも姓が違うと聞きました。私は婚姻届を提出していて、議員は通称名でやっていけるので「橋本聖子」で活動していますが、議員証も免許証もパスポートも全部、戸籍名なんです。どこへ行っても二つの名前を使わないといけないので、いろいろ苦労しています。例えばIOC会議もそうでしたけど、国際会議は橋本聖子で出席するんですが、海外のホテルはパスポートの名前になるので、ホテルに「橋本聖子」はいないんですよね。説明をするのも本当に大変です。私の子どもからしても、母親の私は普段、橋本聖子っていう名前の人間としているわけです。すると、周りの人たちからは「教育上、親の名前と子どもの名前が違うのはよくない」って言われたりするんですが、私は選択的夫婦別姓に賛成なので、それぞれの家庭の事情において良いほうを判断すればよいと思っています。

 矢田さんのお子さんは、「親と子で氏が違っても、親子の関係には全く問題ない」と、大人たちに対しても自ら説明をしているっていう話を聞いたことがあります。一番説得力がありますよね。お母さんの仕事を見て、理解をしているんだなって思ったんです。すごくいいお子さんに育てられているなあと。だから矢田さんには「どうやって子どもを育てたんですか」って聞いてみたいと思います。そして、一緒に頑張りましょうと伝えたいですね。

橋本聖子(はしもと・せいこ)

 参院比例区、当選5回、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長。1964年、10月生まれ。駒沢大附属苫小牧高校卒。スピードスケート、自転車競技選手として夏季・冬季通じて7回の五輪に出場。1992年冬季五輪アルベールビル大会・スピードスケート1500メートルで銅メダル獲得。内閣府特命担当(男女共同参画)大臣、女性活躍担当大臣などを歴任した。2021年2月から現職。

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なるほど!

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グッときた

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もやもや...

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もっと
知りたい

すくすくボイス

  • ちー says:

    保育士をしてますー。聖子さんとは面識がありたぶん、私のことを覚えてくれてると思います😄私は保育士をずっとやってます。今の保育士の現状を知ってほしいです。園長や、経営者に聞いても流される現場の過酷な環境を、手当てやお金ではなく、休暇がほしい現場の声を、知ってほしいです。辞めればすむのにと思われがちですが、かわいい子供達を見ていると最後まで見なきゃという熱い思いをわかっていて、上の者に漬け込まれている私たちの力になってください。よろしくお願いいたします。

    ちー 女性 50代
  • おんちゃん says:

    橋本議員、本音のお話しありがとうございました。男女共同参画相であられたときの、すべてのパブコメに目を通しどれもが選択的夫婦別姓に賛成でした、と言われた姿を思い起こしています。次に登場する矢田議員にも夫婦別姓についてバトンを渡されて、進めたいお気持ちは本物だと思いました。どうぞ、自民党の中から法改正への声を大きくしてください。
    …というような、議員の本音を引きだしてくれたコラム欄に感謝します。

    おんちゃん 女性 60代

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