〈奥山佳恵さんの子育て日記〉30・なぜ自分の子どもに対しては理性が抑えられないんだろう

(2022年4月15日付 東京新聞朝刊)
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「次の紙に替えたい」と思ったけれど、美良生には塗りつぶすまでが完成だった。子どもの可能性をつぶしてはダメですね

奥山佳恵さんの子育て日記

ひらがな練習 私のイラだちが伝わって

 新学期が始まりました! ダウン症のある次男・美良生(みらい)も5年生。最近よく「大きくなったね」と、声をかけてもらいます。同級生と比べるとまだまだ小さいですが、実際に背丈が大きくなりました。

 春休みは暇を見つけては、ひらがな練習にいそしみました。いや「いそしんだ」という言葉を使っていいか分からないほど短い時間…。1日たった数十分。なぜかというと、私の忍耐がもたないから。

 「『あ』って書いてごらん。違う、そうじゃない」「『め』って書いてごらん、ちょっと! これほぼ『あ』みたいなもんだよ?」

 私もできないこと、不得意なことはたくさんある。なのに、私ができてしまうことが相手にはできないと、途端に「アータ、どーしてできないの?」の域に軽々と達してしまう。自分の器の小ささ、包容力のなさを本当に嘆く。私のイラだちはすぐに次男へと伝わり、すっかり萎縮している。わぁ、ごめん、もうやめよう。その繰り返しでなかなか先に進まないのだ。

 次男の良さは素直さ。お手伝いも勉強も、声をかければ笑顔で応じる…はずだったのに、春休み最後の方になると、ついに「勉強」に応じなくなってしまった。しまったー! 彼の可能性をつぶしてしまったかもしれない!

よその子には冷静に客観的になれるのに

 できてもいい、できなくてもいい。基本的にはそう思っている。それが、できるようになってくると途端に欲が出る。厳しくなる。結果的に勉強することをつまらなくさせてしまう、という負のループ。学校の先生を心から尊敬します。私が人間として不十分であることは承知の上、この現象は「親だからこそ」でもあるのだろうか。

 先日、子育て番組を見ていてハッとした。幼稚園の先生が、自分の子どもの世話をしていてパニックに。それを保育園の保育士さんに相談したら「落ち着いて、子どもを見て」ってアドバイスされたそう。助言を聞きながら、自身が実はまるっきり同じことを、相談に来た保護者にお伝えしたのを思い出した、という話。よその子には冷静に客観的に対応できるのに、自分の子となると理性を抑えられなくなってしまうの「ナゼ」。

 私の力量では芽吹き出した子どもの可能性という新芽を踏みつぶしてしまいそう、なので今、私が実験的に心がけようと思っているのは「この子はよその子だ」と思う作戦。無理ですかね(笑)。子どもはどんどん成長する。私もまた、負けずに成長していきます! (女優・タレント)

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グッときた

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もやもや...

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