〈中倉彰子さんの子育て日記〉28・悔しさをバネに

(2018年8月8日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

中倉彰子さんの子育て日記

気持ちの切り替えが難しい

 夏休みの恒例行事、2泊3日の将棋寺子屋合宿「浜松錬成塾」に、今年も講師として参加しました。昨年、初めてチャレンジした長女のマイ(8つ)は「今年も絶対に行く」とやる気満々。わが子はこの1年で、どのくらい成長したのでしょう。

 今年の参加者は50人、講師は渡辺明二冠をはじめ、多くのプロ棋士が務めます。クラスはA~Cと入門の計4クラスに分かれます。マイは前回、入門クラスでしたが、少し強くなったのでCクラス入りです。最初はドキドキしたそうですが、すぐに女の子たちと仲良し3人組になり、夜は枕を並べて寝ました。マイが真ん中にいて、「隣の2人の足がぶつかってきた」と楽しそうでした。1年前は、私と離れて寝るのが寂しくて泣いていたのにね。

 マイのCクラスは、私の妹の中倉宏美が担当します。私は今年も入門クラスです。初めて将棋に触れる子が多く、たくさん負けていた子が初めて、「勝った」と報告に来た時のはにかんだ笑顔がたまりません。参加して良かったと思う瞬間です。

 2日目は、朝から座禅と作務(さむ)(寺の中と庭の掃除)。マイは座禅で足がしびれ、つらかったそうですが、皆で一緒にお経を読んだのが、初めての体験で楽しかったようです。

 最終日は、各クラスで順位を決めるリーグ戦を行いました。マイは、時間をかけて考えるものの、3局連続の負け。そして迎えた最終局。ほとんど勝っていた将棋を、最後に逆転されました。ちょうど部屋に入ってきた私に気付き、泣きながら抱きついてきました。しばらく廊下で2人きりに。「私だけが全部負けた~」とワンワン泣いています。将棋って、気持ちの切り替えが難しいんですよね。

 お友達が心配そうな顔で迎えに来て、2人で部屋に戻って行きました。この悔しさを次に生かしてくれると良いのですが。

おかわりは「再進」

 3日間もあっという間に過ぎ、帰宅の途に。マイに感想を尋ねると、「最後の日のカレーがおいしかった!」。なんで、感想のひと言目がカレーなの? カレーには、肉のかわりにコンニャクが入っています。お寺では、おかわりのことを「再進」と言うそうですが、マイが初めておかわりをしている姿が、私の席からも見えました。

 「お坊さんもね、おかわりしてたんだよ」と楽しそうに話すマイ。子どもには不思議に映ったようです。帰ってきた夜、マイが(プロ棋士の)パパに近づいていき「マイに将棋教えて」。一歩前進。収穫はカレーだけではなかった(ホッ)。(プロ棋士)

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