〈中倉彰子さんの子育て日記〉29・男子の世界

(2014年9月12日付 東京新聞朝刊)

中倉彰子さんの子育て日記

セミ捕りに夢中

 私は妹との2人姉妹で、子どもも上の子2人が女の子。「男の子」という存在はシンが初めてで、戸惑うことが多いです。

 以前、いたずらシンのことを書きましたが、4歳になり、やんちゃぶりにも磨きがかかってきました。

 今年の夏はセミ捕りに夢中。毎週近くの公園にジジ(私の伯父)と出掛けます。シンが私と行きたいと言うので、マキとついて行くことに。格好良いところを見せたいようです。

 いつも虫捕り網と籠を持ち歩いているシン。公園に着くなり、猛ダッシュ。早速、木に張り付いているセミを見つけました。素早い動作で、サッと網をかぶせ、羽をバタバタさせているセミを、手でつかんで虫籠の中に。おー頼もしい。少し前までは、怖くて小さな虫もつかめなかったのにね。

 ちょっと高い所にいるセミを見つけると、自分では届かないので「ママやって」と網を渡される。えっ、私? 勇気を振り絞り、「えい、キャー!」。及び腰で捕りにいくものだから楽々と逃げられてしまう。「ママは声が大きいから逃げちゃうんだよ」。シンに怒られる私。声を出して気合を入れないと怖くって。子どものころは何でもなかったはずなのに。大人になるとダメですね。

 セミ捕りをしていると、ふと、子どものころの、父との懐かしい記憶がよみがえってきました。父も私と妹を連れて、よく虫捕りに連れて行ってくれたっけ。高い所にいるセミを、ジャンプして網に入れたりして。将棋の時間は、私も反抗して口げんかも多かったけれど、虫捕りのときは「お父さん、ここにいるよ」「よしわかった」とチームワーク良く親子3人で捕まえた楽しい記憶が残っています。

 

後部座席でガサガサ 

 話を戻します。早く帰りたいママをよそに、シンは全く疲れ知らず。「あ、トンボもいる!」と、公園中を走り回っています。

 夕方家に帰り、虫籠の中でバタバタしているセミを、得意そうに家族に見せるシン。パパから褒められ満足そうです。その夜、虫籠は狭くてセミがかわいそうなので、みんなでお空に逃がしてあげることにしました(シンは不満そうでしたが)。

 翌朝、保育所に車でシンを送り届けた帰り、誰もいないはずの後ろの席でガサガサ音が…。「ギャー、虫がいる!」。保育所に持って行こうと、シンがコガネムシを置いていたのです。息子は、これからも、どんどん私に新しい世界を見せてくれそうです。(プロ棋士)

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