〈中倉彰子さんの子育て日記〉36・豊かな発想に触れて

(2015年7月10日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

中倉彰子さんの子育て日記

学ぶ

 前回お話しした将棋のイベント「LPSA×CoCre子育て編」が、先月神戸市で開催されました。「子育てと将棋」のテーマで人が集まるか心配していましたが、多数の申し込みがあり、急きょ定員を増やすといううれしい事態に。「わが子に将棋を」との、親御さんのニーズの高さをあらためて感じました。

 さて、「将棋の世界をのぞいてみよう」と銘打ったイベント当日。1部の「学ぶ場」では、私と妹の宏美(女流棋士)の講義を中心に、将棋の歴史や礼儀作法等をお話ししました。姉妹による対局のデモンストレーションでは私たちが畳に正座した途端、ざわざわしていた子どもたちが一斉に「シーン」。駒を並べる姿をじっと見つめ、指し始めると身を乗り出して盤をのぞき込みます。その後は、1手指すごとに「スゴイ、スゴイ!」。こんなに褒められながら対局したことはありませんでした(笑)。公式戦とは真剣度が違いますが、それでもこんなに思いが伝わるものかと、とても驚きました。

創る

 二部は継続的に将棋に触れるアイデアを出す「創る場」。女流棋士と、参加者5、6人で1つのテーブルを囲みました。私はつい実現できそうなことを考えてしまうのですが、子どもたちの考え方はもっと自由で夢があります。ある女の子の発想は「お風呂の底が将棋盤になっていて、潜りながら将棋を指す」。シュノーケルを使って、潜りながら将棋を指すかわいい女の子のイラスト付きです(笑)。

 アイデアは付箋に書き込み、大きな模造紙に貼って参加者全員が気に入った物に投票しました。私は自分自身のアイデアは頭が固いなーと思いながら、眺めていると宏美の筆跡を発見。「将棋が強くなるご飯」と書いてあり、大笑いしました。後で「楽して強くなろうとしてない?」とツッコミを入れると「棋士の夢だよね」との返事。宏美の方が、頭が柔らかいのかも?

 投票数も参考にしながらアイデアは実現化させる予定です。具体的な形にする過程になれば、いよいよわが家の3人の子どもたちには実験台としての出番が回ってきます。みんな、ママに協力してね!

 あれこれと、皆で楽しく言いながら、将棋について考えたワークショップ。参加者の親御さんたちと育児の悩みも共有できて、アッという間に楽しい時間が過ぎました。将棋を指さずに将棋について考えるという、今までにない、貴重な体験ができました。(プロ棋士)

あなたへのおすすめ

PageTopへ