〈奥山佳恵さんの子育て日記〉40・ハタチの長男に近づく巣立ち 永遠の小2だと思っていたのに

(2023年4月19日付 東京新聞朝刊)

小さかったころの長男と私。大変だった子育ての日々も、終わりが見えるとあっという間に感じます

奥山佳恵さんの子育て日記

選挙がきっかけで知る子の成長

 永遠の「小2」だと思っていた。これまで反抗期らしいものもなかった、わが家のハタチの長男。冗談を言い合ったりケンカしたり、親子というよりは友達のような関係だったので、きっと反抗しそびれたのだと思う。時々、思い出したように「そうだ、僕、反抗期だからこのかばん持って」と言ってきたりする。私より背丈は大きくても、やはり中身は小2のまま。「反抗」の意味も分からないまま、育ってくれました(笑)。

 そんな彼に「もしかしたら年相応に内面も育ってた?」と思わされたのが、先日にあった選挙。特別に支持している方がいなかったので、投票日当日に長男と横並びになり、候補者の主張をお一人ずつ確認することにした。

 驚いたのは、長男には長男のしっかりとした考えや意見があったこと。昔から対等な関係を築こうとはしてきたけれど、想像以上だった。彼の意見に納得し、感心して、私の考えが変わったり、私も思いを話して二人で悩んだり。こんなに長く話したのは何年ぶりだろう。ずいぶん大人になったんだなぁ。選挙がきっかけで、長男の成長を感じるなんて思わなかった。選挙権がある子どもが家庭にいることで、私たち親もこれまで以上に選挙に対し、誠意ある対応ができるといいですよね。

「行っといで!」と送り出したい

 そんなふうに、やけに中身が大人になったと思っていたら、どうやら長男は家を出る計画を具体的に立て始めていたそうなのです。だからか。今の暮らしに「終わり」があることに思い至ったからか、急に優しくなったと感じていた。時期は早ければ来年の春ですって。まだ大学生。想定していたより数年早かったので、内心少しだけ慌てた。

 子どもが巣立っていくことをみなさんはどう捉えていますか? 「寂しいからずっと家にいてほしい」という声もよく聞きますが、私は大手を振って「行っといで!」と送り出したいです。実家という安全地帯を飛び出して、体験して失敗して苦労して工夫して、自分で考えて生きていってもらいたい。思っていた以上に自分の意見を育てていた、もう「小2」ではなかった長男。自信を持って飛び立ってください。そしてお互いにそれぞれの人生を楽しもう。わが子の巣立ちは近い。いけいけどんどん!

 とはいえ、実家の門戸は開けておくので、いつでも帰ってきていいからね。

奥山佳恵(おくやま・よしえ)

 俳優・タレント。2011年に生まれたダウン症の次男を育てる。長男はすでに成人。

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