〈奥山佳恵さんの子育て日記〉48・手のひらの感覚過敏、懲りずにチャレンジ

(2021年1月31日付 東京新聞朝刊)
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ニガテだと分かっていても、とりあえず何度でもチャレンジ

奥山佳恵さんの子育て日記

ダウン症の子に多い?ベタベタが苦手 

 誰にでもニガテなことがあると思います。ダウン症のある次男は小さい時から「手がベタベタになること」が不得意。「ウチもだよ」と、同じダウン症のある女の子のお母さんも言っていたし、よく耳にすることなので、ダウン症のある子は手のひらの感覚が過敏気味なのかもしれません。ニガテとは分かっていても、あえて手にドロドロの液体をかける遊びを促してみたり、粘土遊びに誘ってみたりしましたが、ニガテはニガテのままでした。

 そんな次男が通っているお料理教室で、パンを作ることになったのでさあ大変です。手でこねるので、次男のニガテな「手がベタベタ」になる工程が待ち受けています。知ってはいたけれど、どうなるかな。ニガテだからと初めから避けるのではなく、私はシレッと触らせてみました。結果は…「ベタベタだー!」。やっぱりダメだった。「キミが食べたいと言っていたカレーパンを作っているんだよ」「コネコネしていけば、ベタベタはなくなるんだよ」と説得してもどうしてもイヤだと言う。手についたベタベタのパン生地に悲鳴をあげている。しかたがないので私が代わりにこねて、ベタベタしなくなってから生地をこねてもらいました。

子の世界が広がるチャンスつくりたい

 過敏なままなんだなぁ。まぁ、また次も機会があったら挑戦してもらうけど。と、懲りずに何度もチャレンジさせるのは、いつか「あ、平気かも」とニガテを克服する瞬間がやってくるかな?という淡い期待があるから。できないままでもいいけれど、「ニガテ」がもしも「フツウ」になったら、次男の世界は広がっていく。パンもひとりでこねることができる。できなければ人に頼ったり、パン焼き機にお願いしたりすればいいので、決して無理はさせませんけれど。

 私は私で、料理がニガテ。どういう味付けをすれば思い描いている料理にたどり着くのか、の工程がまるで思いつきません。こんなレベルでよく子どもをひとり成人させることができたなぁ。母となって20年以上になりましたが、ニガテはやっぱりニガテなまま。けれど料理の得意な方が「こうしたらおいしく作れるよ」とレシピを考案してくれるおかげで、なんとかゴハンが作れています。

 前回の記事では、「なんでもトライ&エラーで、ニガテだったらやめたらいい」と書きつつ、ニガテでも諦めない私は子どもの世界を広げさせたいどこまでも貪欲な母です(笑)。これからもお互いに楽しくチャレンジは続けていこう!

奥山佳恵(おくやま・よしえ)

 俳優・タレント。2011年に生まれたダウン症の次男を育てる。長男はすでに成人。

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