〈田中健さんの子育て日記〉39・家族で針金アート

(2018年11月23日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

田中健さんの子育て日記

写真

親子で作った針金アート。僕の作品は手足(上段中央右寄り)と、「ウサギにしか見えない」と言われた「ピース」(上段左から2番目)

 11月、娘の小学校では2日間にわたる文化祭があります。「手芸料理クラブ」に所属する5年生の娘は、セラフラワー作りのスタッフです。

 セラフラワーは、針金アートにセラミックの溶液をつけて乾かし、板状になったところに絵を描く飾り。娘は下準備の針金アート作りのため、35本の針金を持って帰宅しました。

 文化祭でも大人気の同クラブのコーナーは、長い時は1時間以上の待ち時間もあります。娘は低学年の頃より長蛇の列も臆さずに並び、毎年楽しみに作品を作り、持ち帰っていました。「今年はいよいよスタッフとして活躍できる」と気合が入った様子です。

「ピース」のつもりが…娘が大爆笑

 しかしながら、いざ下準備となるとなかなか手が動きません。少しでも良い物を作ろうとの思いが強いのか、「男子も女子も楽しめるアートは何だろう?」とインターネットで図案の検索を始めました。さらに迷ったようで、僕と家内に相談してきました。

 家内は無難に「男子には車やヨットはどう?」とスルスル作り始めましたが、2つ作っただけでネタが尽きたようです。娘は近くでケーナを吹いていた僕を手招きし、「お父さんだったら何が良いと思う?」。とうとう針金を渡されて、僕も僕なりに作り始めました。

 最初に作ったのは「手のひら」です。これは娘と家内に非常に受けが良かった。「私たちには思いつかない発想」「細かいニュアンスが表現できている」「不器用だと思っていたけど、器用だね」。日頃は聞けない絶賛コメントの嵐に気を良くし、同じく手をモチーフにした第2弾「ピース」も続けて制作しました。

 これには2人とも大爆笑とブーイング。「ウサギにしか見えない」「言われないとピースと分からない」。家内は涙を流しながら笑いが止まりません。

自由な発想で芸術楽しむ

 文化祭では、子どもたちは用意された針金アートに溶液をつけて乾かして板状にし、そこに絵を描くことを楽しみます。溶液を入れる容器のサイズが小さめで、そのサイズに収まるように針金アートを仕上げねばなりませんが、後は自由な発想で作れます。

 家内と娘に笑われたり、おだてられたりしながら、最終的に5、6本僕が制作し、娘も1日で全ての下準備を終え、記念に写真に収めました。

 小学校生活も残すところ1年と数カ月。芸術の秋に、思いがけず笑いの絶えない貴重な家族時間となりました。(俳優・ケーナ奏者)

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