〈坂本美雨さんの子育て日記〉36・「ママのほうがじょうず」のひと言で火がついた そんなことない!

(2019年12月20日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

坂本美雨さんの子育て日記

写真

自分で作ったバッグを首からかけて

続くプリンセス期 朝から「アナ雪2」全曲熱唱

 先月、娘にプリンセス期がやってきたと書いてから、『アナと雪の女王 2』の公開によってさらに熱が上がり、朝からサントラを全曲熱唱しているうちのエルサ。私まで感化され、映画館に足を運ぶことすでに3回。直感と必然に導かれ自分の役割を発見し、生きる道を切り開くエルサは美しかった。そして松たか子さんのまっすぐな声を聴いているとウルッときてしまう。


〈前回はこちら〉35・やってきましたプリンセス期 「おやつを食べるのだわ!」


 園には英語で歌えるお友達もいるようで、ママ英語で歌ってよと言うのでサビのフレーズを口ずさむと、普段はツンデレの娘が『ママ、じょうずだね』とさらりと褒めてくれた。家族にストレートに褒められる、ということに免疫がないので、面食らってしまう。この人はいつも、誰にもされたことないことをさらっとやってのける存在だ。

 戸惑ってお礼を言うと、「ママは○○ちゃん(自分のこと)よりじょうず」というようなことをボソッとつぶやいた。その瞬間に、コンロのスイッチを押されたように自分の小さな一部がボッと燃えたのがわかった。「そんなことない!」と必要以上に大きな声で言っていた。「ママよりずっとじょうず!! あなたは最高の声だし、いつもすごくいい歌だなと思う、ママはたまたまこれがお仕事だけど、誰かよりじょうずとかそういうことじゃないの、あなたの歌はほんとにすてき」というようなことを、まくしたてていた。そのけんまくに娘は、え、そんなに?と引いていたけれど、なにかが体の底からグワーッと上がってきて、今!今を逃したくない、と焦ったのだった。

 歌でも絵でもなんでも、自分が大好きなものを、身近な人がもっとじょうずだったり認められているからといって、引け目に感じたりは絶対にしてほしくない。それだけはぜったいに。だれにも遠慮しないで、好きな気持ちを爆発させてほしいのだ。

「なんのために生まれてきたの?」 答えに感動 

 ところで、なんのために生まれてきたのか、というのが「アナ雪2」のテーマの一つでもあり歌詞にも出てくるので、ふと、娘に聞いてみた。「ねぇ、なんのために生まれてきたの?」と。すると、間髪入れず「あそぶためにきまってるでしょ!!」と答えが飛び出した。そっかー! そうだったそうだった!と大笑いしながら、急に太陽の下に出て目がくらむような感動を覚えた。子どもは急に、おとなを真実の中に放り込む。不意打ちで。 (ミュージシャン)

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