子どもの食べ残しを減らすには? 「給食日本一」のカリスマ栄養士に聞きました

(2019年2月22日付 東京新聞朝刊)
 せっかく作った料理を子どもが頻繁に食べ残し、困っている親は多いだろう。食べ残しはそのまま「食品ロス」につながり、体や心の成長にも影響する。食べることを楽しませる工夫をし、小学校の給食の残食をほぼゼロにした栄養士、松丸奨さん(35)に食べ残しを減らす方法を聞いた。
写真 松丸奨さん

松丸奨さん

「食べれば栄養、捨てれば…」図鑑を活用

 食べれば栄養、捨てればごみ-。松丸さんは食育指導のとき、子どもたちにこう呼び掛ける。「なぜ食べなければいけないのか、分からないまま食べさせられるのはきつい。全てが自分の栄養になり、成長につながるからだと、理由をしっかりと教えてください」。魚は脳の成長に良いとされるドコサヘキサエン酸(DHA)などが豊富で、ご飯や麺類には、活動のエネルギーになる炭水化物が含まれる。こうした具体的な栄養の話も積極的にしてあげよう。

 食べることへの興味を引き出すため、松丸さんが勧めるのが食材図鑑や栄養図鑑の活用。「子どもは昆虫や動物などの図鑑が大好き。栄養素がキャラクターになっているものや、食材の写真がたくさん使われているものなどいろんな図鑑が出ていて、楽しく読むことができます」。子どもが食べ残しそうなとき、その食材の栄養素を一緒に調べるだけでも、「食べ物は自分の体の中で生かされるんだ」と実感できるはずだ。

イラスト 子どもの食べ残しを減らすポイント

テーブルふき、箸選びなどで「助走」を

 「ご飯だよ」と子どもを呼んでも、夢中でテレビを見ていて、なかなかいすに座ってくれないことも。「いきなり座らせても食事への集中力がありません。食べるための『助走』が必要です」。学校給食の場合は配膳などの準備を子どもたちがするが、家庭では親が何もかもやってしまい、子どもは食べるだけになりがち。食器運びやテーブルふきを任せたり、料理を手伝わせたりして「助走」をつけさせるのがポイントだ。「自分が関わったことで、食べることへの責任感も生まれます」

 時間がないなどで手伝わせるのが難しければ、その日の料理のイメージに合う箸などを子どもに選ばせるだけでもいい。「子どもは自分で選んだという決定権を持つと、うれしくなり、前向きな気持ちになるんです」。箸などは100円ショップでも、旅行先の土産品コーナーでも売られているので、色や柄の違うものをいくつか用意しておこう。

作りすぎにも注意 食べる楽しさを知る

 そもそも食事の量が多すぎて、食べきれない場合もある。見落としがちなのがフライパンのサイズ。最近は軽量化が進んだことで大きめのフライパンを使う家庭が多く、作りすぎになりやすい。適量をつかむため、家族のサイズに合っているかどうかを見直してみるといい。

 大切なのは無理に食べさせるのではなく、「食べることは楽しい」と感じてもらうこと。「ダイエットや美容などで食べることを敬遠する大人は多いが、その姿を子どもは見ている。『食』はずっとついてくるもの。楽しむ気持ちは将来を豊かにするはずです」と松丸さんは呼び掛ける。

松丸奨(まつまる・すすむ)

 1983年、千葉県生まれ。2009年から東京都文京区立青柳小、2016年から金富小に栄養士として勤務。2013年、おいしさや地場食材の活用度などから、学校給食の日本一を競う「全国学校給食甲子園」で優勝。

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