埼玉県立校の休校は5月末まで 国に先立ち決定 大野知事「感染者数はまだ高レベル」

飯田樹与 (2020年4月28日付 東京新聞朝刊)
 埼玉県の大野元裕知事は27日、県立学校の休校を、緊急事態宣言の期間が延長されるかどうかに関係なく5月末まで延長すると明らかにした。28日の対策本部会議で正式決定し、市町村教育委員会にも同様の要請を行う。 

「連休中の遅い時期に判断」では子どもへの影響大きい

 大野知事は、約3週間に及ぶ緊急事態措置の効果について「一定程度出ているが、まだまだ(感染者数は)高いレベルにある」と述べた。東京に隣接しているなど「首都圏全体を見て考えなければいけない」とし、「子どもたちに不安を与えず、感染させないためには休校せざるを得ない」と話した。

 この日、大野知事は西村康稔経済再生担当相に国の交付金拡充などを要望。その際、西村担当相から、緊急事態宣言の延長について「連休中の遅い時期に判断したい」と伝えられた。「連休のまっただ中で判断すれば、子どもや保護者らへ影響が大きい」ため、国に先立ち休校延長を決定したという。5月末までにした理由は「可能な限り学業への影響が少ないことが望まれる」ためと説明した。

 知事は県教育長に、進路支援や通学せずに学べる方法、特別支援学校の対応について検討を指示した。

埼玉県内の市町村教委も「想定内」 既に決定済みの自治体も 

 5月末までの休校延長の方針を大野元裕知事が表明したことについて、市町村教委は「想定内」の反応。先に対応を決めていた自治体もあった。(前田朋子、近藤統義、出来田敬司、中里宏、渡部穣)  

八潮市教委「子どもの安全考えると再開できない」

 小鹿野町教委の担当者は「延長の可能性はあると想定していた」。同町では休校中、小中学生に無料で昼食を配る取り組みをしており「今まで通り続けることになるだろう」と話した。

 八潮市教委は27日、知事の表明前に5月末までの休校を決定。担当者は「八潮は感染者が多い東京に近く、感染拡大も続いている。子どもの安全を考えるととても再開できない」と説明する。授業日数確保のため夏休みを短縮し、1学期を5月7日~8月7日とする予定だったが、再度の休校延長で検討し直す。

さいたま市教委 1コマ15分の「デジタル授業」へ

 さいたま市教委も、大型連休明けに学校を再開することは困難と考え、市立小中学校の児童生徒に市教委のサイトから「デジタル授業」を配信する準備をしていた。27日は臨時の校長学校研修会を開き、細田真由美教育長が実施の詳細を説明したところだった。

 デジタル授業は、市教委が市内の教師に依頼して作った1コマ約15分の授業動画を配信するもので、子どもたちは市内共通の時間割に沿い、該当する授業の動画を選んで視聴する。その中の先生の指示で動画を一時停止し、ワークシートの問題に取り組むなどすると40分間の授業になる。

熊谷市・深谷市「県が決めた以上、延長を検討する」

 東松山市の安元信幸学校教育課長は「現在の状況を考えると、5月7日から再開できるのか懸念があった」と話した。対応は「県教委の通知を受けて考える」という。

 熊谷、深谷市は「県が方針を決めた以上、(延長の)検討に入る」、本庄市は「県から正式な話が来てから考えたい」。鴻巣市は「子どもたちのことを考え、最良の方法を検討したい」とコメントした。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年4月28日

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