5月末まで完全休校の埼玉県立高校 進路選択に重要な時期なのに… 3年生から焦りの声

近藤統義、寺本康弘、飯田樹与 (2020年5月15日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 埼玉県では新型コロナウイルス対策で臨時休校が長期化し、県立高校の3年生や保護者に、焦りが広がっている。進学や就職について決める時期が近づいているのに、進路指導を十分に受けられていないためだ。埼玉県は4月28日に、県立学校について5月末まで登校日を設けない完全休校と決めた。生徒らは将来への不安を抱えながら自宅で過ごす日々が続いている。
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休校が続く県立高校。グラウンドに生徒の姿はない

AO入試エントリーは6月1日から始まるのに

 「高校に行けない状況で、どうやって判断すればいいのか」。埼玉県立の工業高校3年の男子生徒(17)は頭を悩ませる。5月末まで休校が延びた一方、進路選択の時期は少しずつ迫っている。

 目標は、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」を学べる専門学校への進学。東京都内の数校から資料を取り寄せると、いずれも総合型選抜(AO入試)のエントリー受け付けが「6月1日から」とあった。オンラインでの学校説明会に母親と参加したものの、画面越しでは校内の様子や授業の風景は分からない。入試担当者からはエントリーは定員に達し次第、締め切ると伝えられた。

受験方法や受験先、先生に相談したいのに

 今のところ高校からの進路指導は、入試の手続きや面接対策などを説明した冊子が大型連休明けに送られてきたのみ。教員と直接、話し合ったことは一度もない。母親も「一般推薦や指定校推薦など、別の受験方法についても聞いてみたいのに」と話す。

 さいたま市内の県立高校に通う三年の男子生徒(17)も目算が狂った1人だ。美容師を目指し、オープンキャンパスに足を運んで受験する専門学校を決めたかったが、中止に。代わりに開かれたのは保護者向けの説明会だけ。登校日のない高校にも相談できていない。

「今年の就職戦線は相当厳しいぞ」って…

 就職か進学か、決めかねている3年生もいる。「今年の就職戦線は相当厳しいぞ」。川口市に住む別の県立高校の男子生徒(17)は4月初めに登校した際、教員にこう指摘された。この高校には昨年度、約2000社から求人があった。それが新型コロナによる景気悪化を受け、大きく減ることを見越してのアドバイスだった。

 生徒の母親(41)は情報不足を嘆く。「就職にしろ進学にしろ、どう成績がつけられるのかも分からない。国は小学1年と6年、中学3年の優先登校を打ち出しているが、高校3年生への配慮も考えてほしい」

埼玉県の担当者「本格的な就活までは期間がある。進路面で影響はない」

 緊急事態宣言の延長に合わせて埼玉県教育委員会は今月末まで県立高校などを登校日は設けない完全休校に決めた。各校には、進路指導などは必要に応じ生徒を個別に登校させたり、電話やメールでやりとりしたりして対応するよう求めている。

 就職を希望する生徒が事業所の求人票を見られるようになるのは7月1日から。埼玉県高校教育指導課の担当者は、本格的な就職活動までは期間があるとし「進路面で影響はない」と見解を示す。一方で「この時期は進路の希望や方向性を見る最初の段階」とし、各校に、月内に就職希望の生徒数を把握するよう通知を出した。「各校で進路希望調査を行うなど対応していると思う」と述べた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月15日

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