首都圏の休校長期化、先生も心配 「子どものちょっとした変化に気づけない」「再開後、勉強ばかりになるのでは…」

杉戸祐子 (2020年5月9日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は、北関東の3県で解除されたものの、首都圏では多くの学校で臨時休校が続く。私立など一部の学校では双方向のオンライン授業も行われているが、子どもたちが集団生活を送り、教員や仲間とともに学ぶ機会は戻っていない。教壇に立てない教員は現状をどう受け止めているのか。再開への思いは? 当事者に尋ねた。

休校中、家庭で対応できない児童が教室で自習する「緊急受け入れ」の現場=18日、横浜市内で

「元気が…」 家庭内トラブルを察知するきっかけ 

 「ちょっとした変化に気づいてあげられない。子どもたちの心身の健康が何よりも心配」。神奈川県藤沢市の公立小学校に勤める40代の女性教諭は話す。

 休校延長を受け、4月から担任になった約30人の自宅に学習課題を届けて様子を聞いたところ、家からほとんど出ずにゲームやインターネット動画に没頭している子もいた。学校があれば、元気がないとか、お風呂に入っている様子がないなどの変化から家庭内のトラブルを察知できる場合もあるが、「今はその機会がない」。

学校は「人と関わって生活する力」を育む場なのに

 学校再開後についても懸念は尽きない。教諭は学校を「個々の能力を伸ばすと同時に人と関わって生活する力をつける場」と捉えている。「学校側は学習内容を取り戻すのに主眼を置き、人と関わる力の育成をあきらめてしまうのではないか」と表情を曇らせる。

 例えば学級会。子どもたちがもめたりしながら意見を交わす貴重な時間だが、感染予防の観点から、学校が「向き合って話し合うのはだめ」と禁じたり、授業時間確保のために議論を省略したりするなど、「ひたすら机に向かって勉強させる事態になるのではないか」と危惧する。実際、「その方が楽だという教員もいる」と明かす。

 横浜市の公立小の30代女性教諭は再開後について「子どもたちは周囲と関わり合って生活できるのか」と心配する。学校を「集団生活やルールを学ぶ場」と考えているが、「2カ月以上登校できていない上、家から全く出ていない子もいる。友達がどんな生活や取り組みをしているのか、気づくことができない日々になっている」と話す。

親が医療従事者、中国籍…偏見からのいじめも心配

 休校が長引き、再開後は通常より速いスピードで授業を進めることが求められそうだ。ただ、そもそも児童が席に45分間座って授業を聞けるか、不安だという。「家庭生活が長くなって学校を忘れているかも。『勝手に立ちません』『勝手にしゃべりません』と、新しい1年生に教えるように向き合うことになるかもしれない」

 いじめや嫌がらせも気になる。校内には医療従事者や中国籍の親を持つ児童らもおり、「偏見からいじめにつながらないか。大人の前では言わなくても見えないところでは分からない。普段以上に気をつけないと」と顔を引き締めた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月9日

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

いただいた投稿は、東京すくすくや東京新聞など、
中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ