少人数学級は「正規教員を増やす唯一の方法」慶大・佐久間教授が語る意義 萩生田文科相は公立小中学校「30人」に意欲

土門哲雄 (2020年12月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

財務省は慎重姿勢 どうなる来年度予算

 公立小中学校の「少人数学級」について、萩生田光一文部科学相は15日の閣議後の記者会見で「少人数学級のニーズは極めて高い。(財政)当局に必要性をしっかり訴え、何とか実現にこぎつけたい」と意欲を示した。財務省が導入に慎重な姿勢を示す中、17日に来年度予算編成の大臣折衝が行われ、予算案は21日に閣議決定する予定。

 文科省は現在上限40人(小1は35人)と定められている学級規模の30人への引き下げを目指し、予算案の概算要求に、金額を示さない「事項要求」として必要経費を盛り込んでいる。14日に開かれた国と地方の協議では、全国知事会など地方6団体も少人数学級を要望した。

教員不足の改善へ「少人数学級化は必要」 慶応大・佐久間亜紀教授インタビュー

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少人数学級が必要な理由などを語る慶応大の佐久間亜紀教授=東京都港区で

少子化を超える速さで正規教員が減少

 私が「少人数学級化は必要」とする最大の理由は、正規雇用の教職員を公正に増やす唯一の方法だからだ。日本では教職員の数(基礎定数)はクラスの数で決まる仕組みのため、少人数学級化しないと先生の数が増えない。人手を増やし、教育・労働環境を改善する必要がある。

 バブルが崩壊した1990年代以降、国の教育予算は削減され続け、少子化を上回るスピードで正規教員数が減らされてきた。このままでは日本の公立学校の良さを維持していけなくなるところまできている。

非正規ばかり増え、正規は長時間労働

 社会格差の拡大による貧困、虐待、発達障害など手厚い支援が必要な子どもは急増し、教職員に求められる仕事は増え続けている。

 文科省は教職員を増やそうとしてきたが、増やせた教職員のほとんどは1年任期の非正規。せっかく築いた信頼関係を1年で断ち切られる事例が増えた。非正規では担えない仕事も多く、正規教員の負担も増した。今や小学校で3割強、中学校で6割弱の教員が過労死ラインとされる長時間労働を余儀なくされている。

英米では私立・公立の二極化が分断に

 教育の効率性を追求した英米では、少人数学級だが驚くほど学費の高い私立学校と、慢性的な教員不足で学習環境の不十分な公立学校の二極化が進み、社会の分断を深刻化させている。

 少人数学級の議論が問うているのは、学級編成の人数だけでなく、これからの公立学校や社会をどう描くのかという日本の未来像だ。(聞き手・土門哲雄)

佐久間亜紀(さくま・あき)

 慶応大教職課程センター教授、スタンフォード大客員研究員。専門は教育方法学、教師教育、専門職論。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年12月16日

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