コロナ禍の2学期 小学校のオンライン授業、先生はこんな工夫をしています
久喜市 先生がタブレット2台を使い分け
久喜市の小中学校では9日までの予定で、各クラスを2グループに分け1日置きに登校する分散登校を実施する。登校しない児童は各家庭からオンラインで一緒に授業を受ける。
「今から班ごとに話し合いをしてみようと思います」
同市立砂原小学校6年生の国語の授業で、小島孝俊教諭が呼び掛けた。児童はタブレット端末の画面に表示された班ごとのURLをタッチ。同じ班のメンバーの顔が画面に映り、互いの意見を紹介し合った。
小島教諭は授業中、2台のタブレット端末を同時並行で操作する。1台は家庭からオンラインで参加する児童の様子を見るため、もう1台は教科書の内容を、教室の大型画面や児童のタブレット端末に表示するためだ。
教室に30以上ある机は半数が空席だが、大型画面に各家庭にいる児童たちの表情が映り、画面越しに発言もあるため、全員がそろっているような雰囲気がある。休み時間には画面ごしにおしゃべりする姿も。小島教諭は「子どもが操作に慣れるのは早い」と適応力の高さに驚く。一方で「教室にいる子にも、オンラインの子にも意識を向けないといけないのが難しい」と普段と違う気遣いもする。
加須市も順調 「家だと集中が…」の声も
加須市は10日まで市内の全小中学校で、原則的に全ての子どもが登校せずオンライン授業をしている。加須小学校では6年生の道徳の授業で、一人一人に考えたことをタブレット端末で入力してもらい、全員の意見を共有して理解を深めた。
授業は児童の発達段階に合わせて違い、学年によってさまざまな工夫を凝らす。黒板に書く文字をタブレット端末でも見やすいように大きく書いたり、クイズ形式で出題して「○」と「×」の札を掲げて興味を引きつけたり。早朝から教室でインターネットの接続状況や授業の段取りを確認する先生もいるという。6年生担任の野本湧介教諭は「子どもたちもオンラインを新鮮に感じて楽しんでくれている」と手応えを感じている。
子どもたちからは「通常の授業と変わらない」という声とともに「離れ離れで寂しい」「家だと集中できない」などの声もあるが、両校ともおおむね順調にオンライン授業が進んでいるという。加須小の小野田誠校長は「感染拡大防止が主目的の中、子どもにも保護者にも受け入れてもらえていると思う。今後は学力を定着させられるよう質を高めていく研修をしていきたい」と話した。
共働き、Wi-Fi環境がない…なら学校で
久喜、加須の両市とも、両親が共働きで小学校低学年の児童が自宅で1人になったり、家庭にWi-Fi環境がなかったりなどの事情がある場合は、学校で受け入れている。
久喜市は登校グループの児童たちがいる教室とは別の教室で授業を受ける。加須市は自分の教室の席に着くが、教諭とは対面ではなくタブレット端末を通じて授業を受ける。加須市によると、市外の祖父母宅からオンライン授業を受けているケースもあるという。