コロナ禍の2020年度、子どもの自殺が過去最多 いじめは減少したが…「家庭や学校の環境変化が心身に悪影響」

小松田健一 (2021年10月14日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

グラフ 自殺した児童・生徒の数

 文部科学省は13日、2020年度に全国の国公私立小学校、中学校、高校から報告があった児童生徒の自殺は415人と、調査を開始した1974年以降で最多だったと発表した。2019年度の317人と比べて31%の大幅な増加で、新型コロナウイルス禍が子どもの心身をむしばんでいるとみられる。文科省は「極めて憂慮すべき状況にある」とし、相談体制や窓口の充実などに努めるという。

前年度から31%の大幅増 目立つ高校生

 自殺した415人の男女別は男子224人、女子191人。学校別では高校生305人(前年度比83人増)、中学生103人(同12人増)、小学生7人(3人増)で高校生の件数増加が目立った。

 自殺した子どもが置かれていた状況について、学校が把握していた内容のほか、保護者や他の子ども、警察などの情報をもとに分類(複数回答)したところ、「家庭不和」12.8%、「精神障害」が11.1%、「進路問題」が10.6%など。いじめの問題を抱えていた子どもは2.9%(12人)だった。最多は、周囲が見ても様子が変わらず悩みを抱えている様子がなかったなどで「不明」とされた52.5%だった。

 文科省の担当者は「コロナ禍による家庭や学校の環境変化が複雑に絡み合い、子どもの心身に悪影響を与えていることがうかがえる。周囲の大人がSOSを受け止め、組織的に対応する必要がある」とした。

 調査は自殺のほか、いじめや不登校、暴力行為などの実態を把握するため毎年実施している。

「死にたい」子のほぼ全員に家庭の問題がある。相談窓口の少ない高校生のフォローが必要

◇NPO法人 若者メンタルサポート協会の岡田沙織理事長の話

 私たちに「死にたい」と訴える子どものほぼ全員が、家庭環境に何らかの問題を抱えている。一部の子には家庭から逃れられる場所の一つでもあった学校も、コロナ禍による休校や行事の中止が相次ぎ、居場所が失われた。

 特に高校生の自殺が急増したが、一般的に高校生が生きづらさに悩んだ時に行ける相談窓口が少なく、国全体として手厚いフォローもないのが現状と感じている。高校は義務教育ではなく、心を病んでも単位などに影響し、休むこともなかなかできないため、小中学生とは違うより難しい環境がある。子どもたちが安心して過ごせて、悩みを打ち明けられる新たな居場所づくりが必要で、それを国が支える仕組みがあればいいと思う。

いじめ件数は前年度から15.6%減少 子ども同士の接触が減ったのが要因か

 文科省が13日に発表した調査では、2020年度に全国の国公私立の小中高校と特別支援学校で認知したいじめの件数は51万7163件で、前年度より15.6%減少した。心身が深刻な被害を受けるといった、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」とされた事例は前年度より28.9%減の514件だった。 

グラフ 不登校の生徒数といじめの認知件数

不登校の小中学生は過去最多に

 文科省は「コロナ禍での臨時休校や学校行事の休止、部活動の制限など子ども同士の接触機会が減ったためではないか」と分析。一方で「人と人との距離が広がったことで、不安や悩みを相談できない子どもがいる可能性を考慮する必要もある」としている。

 病気や経済的な理由以外で年間30日以上登校していない不登校の小中学生は、前年度比8.2%増の19万6127人で過去最多となった。増加は8年連続。文科省は、コロナ禍で学校活動に制約が多く、登校意欲がわきにくい環境だったことが影響したとみている。不登校の高校生は同14.1%減の4万3051人だった。

 また、高校を中退した生徒数は前年度比18.4%減の3万4965人で、調査を始めた1982年度以降最少。中退理由は「進路変更」が43.1%と「学校生活・学業不適応」が30.5%を占めた。経済的理由による中退は1.5%と過去最少で、各自治体が低所得世帯などへの就学支援制度を拡充していることも反映されたとみられる。

感染不安が理由の不登校も オンライン授業の環境整備が課題

 2020年度に新型コロナウイルス感染への不安などを理由に30日以上登校しなかった小中高校生は3万287人に上った。基礎疾患で難しいケースもあり、文部科学省は子どもに不利益がないように、通常の欠席ではなく「出席停止・忌引など」として扱うとの指針を設けて対応してきた。ただ、自宅で学習できるオンライン授業の態勢はばらつきが大きく、環境整備に課題がある。

表 感染不安などを理由に30日以上登校しなかった児童生徒数

 文科省は2020年度の調査で感染不安などによる長期欠席の児童生徒数を初調査。小学生1万4238人、中学生6667人、高校生9382人だった。各学校では指針を受け、内申評価に影響しない出席停止などとして記録されたとみられる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年10月14日

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