「性別」で困る子どものため、学校の慣習を見直すべきでは 法整備とともに、今できることがある

(2023年5月12日付 東京新聞朝刊)
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5歳の時に「髪を伸ばしたい」と話した小学生。ピンクの髪留めがお気に入りという

 性的少数者(LGBTQ)について理解を広げる法整備の機運が高まっている。法案の文言や、国会の動きに注目が集まるが、いま学校で性別によって困っている子どもたちにも目を向けたい。最近耳にした、生まれた時の性別に違和感をもつ子どもの事例からは「そもそもなぜ、社会は人を男女に分けたがるのか」という疑問を感じた。

スカートで通いたいのに「前例がない」

 東京都内の小学生は5歳の時、クリスマスプレゼントに映画「アナと雪の女王」のエルサのドレスがほしいとねだった。男の子として育ててきた30代の母親は戸惑いつつ、ドレスを着たうれしそうな顔を見て「この子、もしかして…」と気づいたそうだ。

 「髪を伸ばしたい」「スカートをはきたい」-。母親は本人の意思を尊重し、スカートで通わせると幼稚園に伝えた。「他の子への影響が…」といい顔をしない先生もいた。小学校入学前に同様に告げると、自治体の人権担当窓口では「前例がない」と一蹴された。母親は「多様性尊重と言われるのに、こんなに理解されないとは…」と話す。

 通い先の小学校の管理職は「特別扱いはできない」と繰り返す。出席簿は男女混合名簿で、不都合はなかった。だが男女別の内科健診や運動会を巡っては母親と学校で個々に最適な方法を探っている。

くん/さん マグネットも男女で色分け

 ある都内の中学生は、生まれた時は男の子で、今は女子として通学している。小学校の時、男子は「くん」、女子は「さん」で呼び分け、黒板に張る名前入りのマグネットも男女で色分けしていた教諭がいた。母親は一つ一つ、学校に改善を求めたという。

 中学校では求めずとも、誰でも使える、簡易的な個別更衣スペースが設けられた。宗教上、肌を見せてはいけない生徒や、病気や生理中で他の子と一緒に着替えたくない生徒もいる。「特別扱いではなく、皆が使いやすくなった」と中学生の母親は話す。

男女どちらでもない、決めたくない子も

 文部科学省は2015年、性的少数者の児童生徒へのきめ細かな対応を求める通知を各教育委員会へ出した。その後、世田谷区など公立中学校の制服を性別に関係なく選べるようにしたところも見られるが、前述の小学生と中学生のように、まだ個別に解決策を探っている現状もある。

 トランスジェンダーと呼ばれる人々は、国内外の調査で人口の1%未満とされる。幼い時に性別違和を訴えるケースもある。LGBTQには、自分は男女どちらでもない、決めたくないという子もいて、状況はそれぞれ違う。

 誰もが生きやすい社会を目指すため、まず、当たり前のように行っている男女分けの要不要を見直してはどうか。不要な男女分けなどが見つかれば、学校の制度や慣習を改めるべきだと思う。LGBTQが直面する壁を減らしつつ、必要以上に性別で分ける社会の枠組みを、少しずつ変えることにつながるからだ。法整備とともに、今、できることがある。

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