伊勢原市の向上高がダブル表彰 チアダンス部が世界一&福祉基金への寄付が1000万円突破

西岡聖雄 (2024年3月22日付 東京新聞朝刊)
 神奈川県伊勢原市の向上高チアダンス部が初出場した世界大会で優勝し、高山松太郎市長に報告した。向上高は生徒会が福祉施設などへの献金を続けていることでも知られ、市の福祉基金への寄付額は累計1000万円を突破。市は生徒たちの活動をそれぞれ顕彰した。
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優勝を報告したチアダンス部=いずれも神奈川県伊勢原市で

米国の大会 23人で過去最高の演技

 チアダンス部は昨秋の全国大会で1位となり、世界大会へ推薦された。米国で2月に開かれた「WSPC世界高校チアリーディング選手権」には各国の19チームが参加。向上高は観客を盛り上げる力や、ダンス技術を競う最も重要な部門で1位を獲得し、全部門を通じた総合優勝を果たした。

 顧問の小川萌香教諭(23)によると、受験で出場を断念した5人を除いて、引退した3年生部員も練習を再開。生徒23人で「過去最高の演技」を披露し、世界一をつかんだ。渡米費用はクラウドファンディングなどで捻出したという。

 2年の真間心葉(ここは)部長(17)は「悩み、悔しいときもあったが、3年生と一緒に踊れ、人生で一番の達成感を得られた」と、市長に話した。チアダンス部へ入部するため、向上高を選んだという3年の女子生徒は「卒業のぎりぎりまで部活動をできたのがうれしかった」、他のメンバーも「観客のリアクションがすごく、踊りで気持ちが伝わった」などと、一人一人が喜びを伝えた。

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表彰状を持つ生徒会の田村会長(左)ら

年間数十万を児童養護施設などに寄付

 向上高は生徒会が毎月1回、献金活動を行う「克己(こっき)日」を設けている。任意参加で、1本のジュースや、1回のバス乗車などを我慢して、その相当額を児童養護施設や障害者支援施設へ贈っている。

 献金の歴史は、戦争末期の沖縄戦で被災した沖縄県出身の生徒を支援したことにさかのぼるという。吹奏楽部、音楽部、チアダンス部が出演するチャリティーコンサート収益も加えて、市内や二宮町、箱根町の施設に年間数十万円ずつ渡し、残りを市の福祉基金へ寄付している。

生徒会が施設や独居老人宅の訪問も

 戦後から続く献金総額は不明だが、1987年度から始まった市への累計分だけで1000万円を超え、市は2月、生徒会を表彰。生徒会は施設や独居老人宅の訪問もしており、2年の田村柚果会長(17)は表彰式で「つながりが大事。伝統が未来にもつながってほしい」と語った。

 放送部も市をPRする動画を複数制作し、伊勢原市公式YouTubeで公開されている。高山市長は「いろいろな面で伊勢原の知名度を高めていただき、感謝している」と、各部や生徒会の活動をたたえた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年3月22日

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