目黒女児虐待死「同種事件で最も重い」懲役13年 裁判員の葛藤「13年を超えても…」

小野沢健太 (2019年10月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 「パパ ママ ゆるして」と書き残し、5歳で亡くなった船戸結愛(ゆあ)ちゃんの継父、雄大(ゆうだい)被告(34)に15日言い渡された判決は、児童虐待を巡る保護責任者遺棄致死事件で過去最も重い刑と並ぶ懲役13年だった。事件を審理した裁判員からは閉廷後の記者会見で、「本当にこの量刑でいいのか、最後まで葛藤があった」と複雑な思いも漏れた。

「しつけではない、と自覚する機会あったはず」

 「法廷で争われた証拠に基づき、これまでで最も重い懲役13年にしました」

 15日午後、東京地裁の法廷で判決文を読み終えた守下実裁判長は、雄大被告にこう語りかけた。雄大被告は裁判長や裁判員らに軽く一礼。判決主文の言い渡しから閉廷まで、終始硬い表情を崩さなかった。

 守下裁判長は判決で、「児童相談所の関与により、暴力や食事制限はしつけではないと自覚する機会はあった」とし、香川県の児相が結愛ちゃんを2度にわたり一時保護した際に、虐待はやめられたはずだと指摘した。実際は、昨年1月に東京都目黒区に転居した後、虐待は一層激化した。

「苦しみ、悲しみ、絶望感は察するに余りある」

 冷水シャワーを浴びせ、馬乗りになって顔を何度も殴打。異常に痩せた状態で嘔吐(おうと)していたのに、意識を失うまで病院に連れて行かなかった。裁判長は「虐待の発覚を恐れるという身勝手極まりない保身を優先し、生存確保への思いは二の次だった」と断じた。

 「身体的苦痛や苦しみ、悲しみ、絶望感は察するに余りある」。裁判長がこう述べたときも、雄大被告はうつむいたままだった。

「懲役13年超えてもいいのでは」悩んだ裁判員

 閉廷後、裁判員らが記者会見。子どもがいるという女性裁判員は「なぜここまでしたのか全く理解できず、審議中に動揺してしまった」と振り返った。

 結愛ちゃんが書き残したノートの内容について、男性裁判員は「衝撃的だった。怒りを感じた」。一方、父親でもあるという別の男性裁判員は「親として許せないと思ったが、一つの証拠として見ることはできたと思う」と話した。

 複数の裁判員らから「懲役13年を超えてもいいのではないかと悩んだ」などと葛藤が漏れたが、最終的には他の同種事件の傾向を踏まえ判断した。

 女性裁判員は、雄大被告にこう求めた。「結愛ちゃんのことを忘れず、謝罪の気持ちを持ち続けてほしい」

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