「理想の家庭」描いた末に…目黒女児虐待死の父親、裏腹の暴力 死亡前日に危機認識しても通報せず

山田雄之 (2019年10月2日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 「パパ ママ もうおねがい ゆるして」と書き残して5歳で亡くなった船戸結愛(ゆあ)ちゃんに暴行したとされる継父の雄大(ゆうだい)被告(34)=傷害や保護責任者遺棄致死などの罪で起訴=の裁判員裁判。1日に東京地裁であった初公判で弁護側は、結愛ちゃんが勉強をしなかったことがきっかけで、馬乗りになって何度も殴ってしまったと説明した。結愛ちゃんは数日後に死亡。雄大被告が描いた「理想の家庭」が、真逆に向かった背景が徐々に浮かんできた。

弁護側「虐待は許されない。でも父であろうとした」

 「虐待は決して許されない。でも被告は父親であろうとしていた」。弁護側の冒頭陳述が始まると、顔を紅潮させた雄大被告は終始うつむき、目頭をハンカチで頻繁に押さえた。

 弁護側冒陳によると、雄大被告は大学卒業後、システム保守会社で7、8年間勤務したが、体調を崩して退職。香川県のキャバクラに転職し、同店で働く優里(ゆり)被告(27)と出会ったという。シングルマザーの優里被告と交際し、結婚を意識するようになった。

「明るく何でも言い合える家庭」を理想としながら…

 雄大被告が理想としたのは「明るく何でも言い合える家庭、元気に何でも頑張れる子ども」。雄大被告は結愛ちゃんを思い通りの子にしようと言葉を掛けたが、それは次第に脅しになり、押し入れに閉じ込めたり手を上げたりするようにもなった。子育て方針の違いから、優里被告にも罵声を浴びせるようになった。

 昨年1月、一足早く東京都目黒区に転居していた雄大被告は、1カ月遅れで優里被告と共に引っ越してきた結愛ちゃんが太ったことに怒りを覚え、食事制限や暴力などの虐待が激しさを増していった。

「勉強していない」と馬乗りになって殴打

 2月下旬、勉強していなかった結愛ちゃんに雄大被告は激怒し、馬乗りになって何度も殴打。同月28日、結愛ちゃんが嘔吐(おうと)したもののバナナを少し食べたため、「命に危険はないと思った」という。

 亡くなる前日の3月1日、結愛ちゃんは「黒いもの」を嘔吐。初めて「本当に危ないかも」と感じたが、虐待の発覚を恐れて通報できなかったと説明した。

 弁護人は終わりに「虐待は正当化できない。しかし決して愉快犯でも、子どもが邪魔だったわけでもない」と強調した。

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