夏の紫外線で視力低下や白内障のリスク 地域差も 子どもはサングラスや帽子で目を守ろう

(2022年7月26日付 東京新聞朝刊)
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紫外線から目を守るためのサングラスは、色が薄めのものがおすすめだという(NPO法人「紫外線から眼を守るEyes Arc」提供)

 日差しが強い夏は、体だけでなく目にも負担がかかる。強い紫外線を長期間浴び続けると白内障など目の病気につながる恐れがあるという。外出の際は、つばの広い帽子やサングラス着用など、目を守るための対策が必要だ。また、ハンディータイプの扇風機などの風を顔に直接当てると、涙が蒸発し角膜が傷つくことがあるとして、医師が注意を呼びかけている。

多く浴びると「瞼裂斑」 白目のシミに

 「子どもの頃から目に紫外線のダメージを蓄積させることは、将来の目の病気につながる恐れがある」。金沢医科大眼科学講座主任教授の佐々木洋さん(59)は言う。紫外線を多く浴びることで発症するのが瞼裂斑(けんれつはん)だ。白目部分が盛り上がったり、黄色っぽく変色したりする。充血やドライアイなどの原因となり、一度できると白目のシミとして残る。

 瞼裂斑ができた状態でさらに紫外線を浴び続けると、白目の表面を覆う結膜が黒目にかぶさる「翼状片(よくじょうへん)」という病気になる可能性もある。翼状片は進行すると瞳孔に達し、視力が低下し失明することもあるため手術が必要となる。再発することも少なくない。

 強い紫外線を長期間浴びると、目の中のレンズである水晶体のタンパク質が変性し、老眼や白内障になりやすいことも分かってきた。

紫外線強度には地域差 沖縄は高リスク

 佐々木さんは2014年、紫外線強度が日本の2倍以上あるアフリカのタンザニアで紫外線と目の病気の関係を調査。小中高生231人を調べたところ、ほぼ全員が瞼裂斑だった。40歳以上の937人を対象にした調査では、裸眼視力が0.3未満の人や失明した人の割合は60代で37.4%、70代以上では74.6%に達した。「紫外線が老眼や白内障を引き起こすメカニズムはよく分かっていないが、子どもの頃から紫外線を多く浴びた人の発症が早いのは明らか」と指摘する。

 佐々木さんは、理事長を務めるNPO法人「紫外線から眼を守るEyes Arc(アイズアーク)」の活動で、日差しが強い沖縄県の西表島での調査も実施。瞼裂斑にかかった小学6年生の割合は、石川県の約3%に対し、沖縄では70%以上に上った。また、高校まで沖縄在住の人は、成人してから沖縄に移住してきた人に比べ、翼状片の発症リスクが約6倍高く、水晶体の中央から濁り始める「核白内障」のリスクも約9倍との結果が出た。

 対策は、つばの広い帽子や、紫外線カットのコンタクトレンズや眼鏡、サングラスを着用するといい。色の濃いサングラスは視界が暗くなって瞳孔が開き、レンズと顔の隙間から入る紫外線が目の奥まで届く可能性がある。佐々木さんは「外から目が見えるくらい薄い色のレンズがおすすめ」と話す。

夏は「目の乾燥」にも注意 ハンディー扇風機で涙が蒸発

 夏は目の乾燥にも要注意だ。伊藤医院(さいたま市)副院長の眼科医有田玲子さん(52)は6月、女性3人にハンディー扇風機の風を顔に1分間当ててもらい、目の表面の涙がどのくらいの時間で蒸発し始めるかを実験。風を当てる前は3.0~8.5秒かかったが、風を当てた後は全員1秒台で蒸発し始めた。

 有田さんは「角膜は水と油でできた涙に守られている。涙が蒸発すると、角膜がむきだしになって傷つきやすくなり、乾きやかすみ、疲れ目などにつながる」と指摘。「扇風機や車のエアコンなどの風は顔に直接当てないで」と注意を促す。

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