2歳児の1割超がもう「スマホ依存」 母親2000人の調査で判明 専門家「リスクは未解明、ほどほどに」 

子どもとデジタルライフ

 育児に役立つアプリや乳児向けのコンテンツが年々充実する中、スマートフォンが子育てに欠かせないツールになっています。そんな中、2歳児でも1割を超える子どもが、「すぐ使いたがる」「取り上げると機嫌が悪くなる」などの依存傾向にあることが、乳幼児を育てる母親約2000人の調査で明らかになりました。

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親はスマホを手放せない一方、子どもへの影響を心配

 調査は、2018年10月、東京大学大学院情報学環の橋元良明教授(情報社会心理学)の研究室が、0歳から6歳の第1子を育てる母親を対象に実施。幼い子どもを育てるお母さんたちが、スマホを手放せない一方、子どもの心身への影響や依存傾向を心配している実態も明らかになりました。どんな使い方をしているのか、適正な使い方とは? 気になる調査結果と橋元教授の分析、アドバイスを見ていきます。

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乳幼児の育児とスマホについて調査した橋元良明教授

何歳から触らせていますか?

 0歳児を育てる母親の34.9%が、スマホに触らせたことがあると回答。1歳児以降では6割を超えています。

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 〈橋元教授の話〉前年2017年に同じ調査をした時よりも、0歳児でスマホに触れさせた割合が10ポイント以上増えており、この先も増えるのではないか。

何を見ていますか?

 子どもにどのようなサイトやアプリを見せているかとの問いには全年齢で動画投稿サイト「ユーチューブ」との回答が圧倒的でした。アンパンマンやドラえもんなどのキャラクターアニメや子ども向け番組、歌やダンスの動画が人気です。

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 〈橋元教授の話〉知育動画のコンテンツも増えていますが、教育の手段としては絵本やビデオもある。影響の分からないスマホを長い時間使わせるのはリスキーです。また、入り口はアニメでも、アダルト系動画に誘導されることもあります。子どもが何を見ているかをきちんとチェックして。

親たちの不安と期待

 母親たちは子どもが情報機器に触れることで、心身や脳の発達への悪影響や、ポルノや暴力、出会い系などの有害サイト・アプリを見てしまうのではないかと心配しています。一方で、子どもを静かにさせたい場面などで、スマホに「子守り」をさせたり、育児に役立つ情報を得たりすることを期待していることが分かります。 

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 〈橋元教授の話〉はっきりした知見はまだ得られていないが、長時間視聴やブルーライトの影響による睡眠不足、小さいデジタル画面を見続けることによる視力低下の恐れがあることを親は自覚しましょう。

依存傾向はどれくらい?

 1歳児の1割ですでにスマホへの依存傾向が見られます。国が使っているネット依存度を測る8項目を乳幼児向けにアレンジ。母親から見て、5項目以上が該当すると依存傾向があると判断しました。該当率が高かったのは、「すぐに使いたがる」「取り上げると機嫌が悪くなる」「やめようね、と言ってもやめない」でした。

 〈橋元教授の話〉面白いから見ているので、取り上げれば機嫌が悪くなるのは当たり前。初めて与える時から、「電車を降りるまで」「このお話が終わったら」のように、時間にけじめをつけることを勧めます。

母親の育児ストレスが影響

 調査からは、母親と子どものスマホ依存傾向には相関関係があり、さらに、母親の育児ストレスが高いほど、子どもと過ごしていてもスマホをいじってしまう傾向が高くなることも明らかになりました。

 橋元教授は「母親自身がスマホ以外のストレス発散法を見つけてほしい。また、知育面では読書、脳の発達には外遊びは重要。母親が一人で抱え込まないよう、父親がサポートを」とアドバイスします。そして、「子どもと目を合わせること(アイコンタクト)が、子どもの共感性や安心感の醸成には欠かせない」と力を込めます。

 調査全体を通して、橋元教授は「幼い子どもがスマホを使うことの影響は現時点でははっきり分かっていない。親の使用も、子どもに使わせるのもほどほどに」と呼び掛けています。

 調査方法 2018年10月2、3の両日、インターネット調査会社「マクロミル」の関東地方のモニターで、0歳から6歳の第1子と同居している18歳から49歳までの女性2272人から回答を得た。子どもの性別は男女1:1。

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