「手作り」の呪い?

子育て世代がつながる

 先日、新年度から保育園で子どもが使う道具を準備していて、思い出した。埼玉県に住む友人が昨年、保育園に入る長女のために作った人形のことだ。入園前に園から「『ごっこ遊び』に使うので、手作りしてください」と言われたという。布や材料を買いに行き、型紙を作り、試行錯誤して仕上げたという彼女は、「育休からの復職準備もあるのに、保育園ってこんなに親に負担を押しつけるの?」と嘆いていた。

友人が保育園で子どもが使うために手作りした人形。型紙も作った

保育園で子どもが使うために友人が手作りした人形。型紙も作った㊨

 園からは、「大きさは30センチほど。洗えるタオル素材で、ボタンは誤飲防止のため付けない」などの説明があり、既製品ではなく手作りする理由は「子どもが人形に愛着を持つように」と付け加えられたという。

 タオルを袋型にし、中に綿と芯になるアイス棒を入れ、一針一針縫う作業。1歳児がチョロチョロする中で針仕事をするわけにもいかず、一時保育に半日ずつ2日間預けて完成させたという。「子どものために、子どもとの時間が削られるっておかしくない?」と彼女は不満げだった。

 手作り品を求められたことは、私にもある。子どもの保育園の布団カバーや行事の衣装だ。既製品がないから仕方なく作ったが、友人の話を聞いていて、どこかに「手作りはすばらしい」「手作りだからこそ愛情が伝わる」という思い込みのようなものがある気がして、モヤッとした。多くの家庭で“手作り”を担うのは母親という現実もある。「母親なのだから、手作りするのは当たり前」というのは、母親を縛る「呪い」ではないか。

 手作りの呪いは、保育士たちも縛っている。先生たちが誕生日や運動会の時に一人一人にくれるカードやメダル、保育室内の装飾…。子どもが喜ぶ姿を見ると親としてもうれしいけれど、保育園を取材していると、「負担に思う」「作る時間がない」という声も聞く。保育士不足などから保育現場の負担の大きさが課題となる中、全てが本当に必要なのか、見直す視点があってもいいのではと思う。

 友人が作った人形がどうなったか一年ぶりに聞いた。長女は保育園に持って行ってはいるようだが、「どのくらい遊んでいるのかは不明」とのこと。「既製品のキャラクター人形の方が好きだけどね」との返事だった。

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