初心忘れず「保育指針」いつも手元に 保育士NPOがクリアファイル製作へ クラウドファンディングも

(2020年1月20日付 東京新聞朝刊)
 保育のあり方をまとめた国の「保育所保育指針」を忘れないよう、保育士らのグループが指針を載せたクリアファイルの製作を目指している。一部で不適切な保育や園児への虐待も起きている中、グループは「指針を手元に置き、保育の質の向上に生かして」と期待する。

保育所保育指針を抜粋して載せるクリアファイルのデザイン案を手に話す河合清美さん=東京都内で

待機児童対策で施設急増 人材養成に危機感

 保育士らが2016年に設立したNPO法人「こども発達実践協議会」(東京都千代田区)が企画した。

 指針は1965年に策定され、2018年4月、改定指針が施行。指針は5章で構成。子どもの年齢に応じた発達状況や、保育士らの関わり方、保育の環境、職員の資質・専門性の向上などについて記している。

 待機児童対策に伴い、東京都内の認可保育所だけでも、この5年間で1000施設以上増え3066施設(19年)ある。このため、協議会は経験の少ない保育士が増え、適切な人材養成がなされていない場合のあることに危機感を持った。

 そこで、保育士の養成機関で習う保育の原点である指針を忘れず、日常の実践で生かしてほしいと、目に留まりやすいファイルに印刷することにした。

 ファイルは指針の一部を抜粋して掲載。指針では「子ども一人一人」への目配りが強調されており、ファイルではこの「一人一人」や「愛情豊かに、応答的に関わる」など、保育の本質にかかわる部分を目立つように色を付けた。

保育士の相談にのる河合清美さん㊨。「指針は日々の保育を振り返るきっかけになる」と話す

保育士の相談にのる河合清美さん㊨。「指針は日々の保育を振り返るきっかけになる」と話す

「正解は一つではないが、助言・指導の一助に」

 協議会代表理事で、都内の私立認可保育園長の河合清美さん(47)は「子どもに『○○してはダメ』と言うのではなく、『どうしたいの?』『今度はこっちで遊ぼうか』と気持ちをくみ取りながら関わることが大切。指針は、日々の保育を振り返るきっかけになる」と説明する。

 河合さんが保育についてつぶやくツイッターには、若い保育士から「子どもにどう対応したらいいかわからない」「先輩に教えてもらえない」などの悩みも寄せられる。河合さんは「保育の正解は一つではないが、適切な方向性はあるはずで、それが指針。経験の浅い保育士に助言や指導をする際のよりどころにもなる」と話す。

 クリアファイルはA4判、ダブルポケット式。指針全文が読めるQRコードも掲載。インターネットのクラウドファンディングで製作費を募っている。クリアファイルは、賛同者へのお礼として送付。3000円(クリアファイル2枚)コースから。募集は今月31日まで。詳細はクラウドファンディングサイト「GoodMorning」で。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年1月20日

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