こども誰でも通園制度、川崎市が6月ごろ試行へ 保護者の孤立を防ぎたいが…懸念は「月10時間」の上限

北條香子、小林由比 (2024年1月14日付 東京新聞朝刊)
 共働きなどの要件を満たさなくても保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」。国が親子の孤立から起きる虐待を防ぐことなどを狙い、2026年度の本格実施を目指している。川崎市は来年度、一部で実施される「試行的事業」に取り組む自治体に選ばれた。市の担当者は「保護者の不安をすくい取れる事業としたい」としている。

1時間300円程度 21施設で受け入れ

 試行的事業はこども家庭庁が示す枠組みに沿って実施される。対象は保育所などに通っていない生後6カ月~3歳未満の子どもで、利用上限は子ども1人につき月10時間。各区3カ所、計21の保育施設で受け入れ、保護者の負担額は子ども1人当たり1時間300円程度となる見込みだ。市の担当者は「民間の保育施設も含めて、バランス良く取り組み、本格実施に向けた課題などを洗い出したい」と話す。

 川崎市は本年度も川崎・中原両区の保育・子育て総合支援センターで制度の「モデル事業」を実施してきた。実際には、両センターでもともと実施している一時保育事業を活用し、効果測定などを行ってきた。担当者は「保護者に休息を取ってもらったり、子どもの発達支援などにつなげたりできる預かり事業は孤立防止に非常に重要だ」と強調する。

短い時間でも、行政との接点を持てる

 ただ、一時保育事業の利用上限が「週3日以内または月64時間未満」なのに対し、誰でも通園制度の上限は月10時間。川崎市を含む全国の政令市でつくる指定都市市長会は昨年11月、「上限を設けず地域の実情に応じて柔軟な制度を」と国に緊急提言している。

 担当者は「週1回2時間程度の利用となり、慣れない環境で子どもが泣いているうちに帰る時間ということもあり、十分に親子の状況が把握できないケースもあるかもしれない」と予測。一方で、「短い時間であっても、行政と接点を持ってもらう機会が増えることは意義がある」ととらえる。

 試行的事業は2~3月に事業者公募を行い、6月ごろから実施する予定。担当者は「一時保育とのすみわけなど制度的に分かりにくい部分もあるが、利用する家庭にとって少しでもホッとできたり、安心できたりする事業にしていきたい」としている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年1月14日

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  • かなへび says:

    保育士をしています。職場では一時預かりのクラスがあり、1クラスに異年齢児が集まり過ごしています。

    同じ活動内容では無理があるため、体格差や発達がグレーな子もいて担当保育士は試行錯誤の日々のようです。昼寝時間は、慣れない環境に泣く子が日替わりで、担当保育士は休憩を取ることが難しいと感じています。

    独立した誰でも保育園を開所した方が年齢別に見るなど工夫し、上手くいくような気がします!

    預けられた子ども達がゆったり過ごす時間を与えてあげられ、家に帰ってからも落ち着いて過ごす為に必要な事だと思います。それが、リフレッシュした親御さんにもいい影響を与えるのではないかと思います。

    かなへび 女性 40代

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