眠るのが怖い娘 どうしたら安心して寝てくれる?〈宮里曉美のひとりで悩まない子育て相談〉

(2025年11月14日付 東京新聞朝刊)

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ポジティブな声かけをしていますが…

 4歳の娘が「眠るのが怖い」と言って、なかなか寝てくれません。夜になるとベッドに入るのを渋ります。私からは「楽しい夢を見よう! それってどんな夢かな?」とポジティブに思えるような声かけをしていますが、この対応でよいのでしょうか。どうしたら安心して寝てくれるようになるのでしょうか?(40代母親)

イラスト

イラスト・永須華枝

気楽なおしゃべりを

 小学校低学年の頃によく見た怖い夢がありました。自分の体が徐々に消えていくという夢でした。ああ、消えていく!と焦るのですが、すっかり消えてしまうと透明人間になり自由を手に入れることができて、不思議な気持ちになる夢でした。空を飛ぶ爽快な夢も時折見たので、今思うと豊かな夢時代だったなあ、と懐かしく思います。今回の相談を読みながら、すっかり忘れていた「子どもの頃の夢」のことを思い出しました。

 お子さんは、どうして眠ることが怖くなったのでしょうか。何が怖いのでしょうか。思い当たることはありますか? それがわからないという時は、お子さんとおしゃべりすることをお勧めします。

 ここで気をつけたいのは、「気楽なおしゃべり」に徹すること。尋問みたいになったり、説得したりするのはNGです。眠るのは怖くないよ、と伝えるのもやめておきましょう。「眠るのが怖くなったんだね」とまず受け止めて、「どうしてかなぁ」と聞いてみたり、「お母さんも小さい時そんなことがあったな」とつぶやいたり。そうやっておしゃべりしていると、お子さんも、自分の気持ちは特別なものじゃないと感じて安心するかもしれません。

 「怖い時は、いつもそばにいるよ」と伝えたり、「どうすれば、怖くなくなると思う?」と一緒に作戦を考えたりするのもいいですね。安心グッズを家中から集めてベッドの周りに並べたり、安心できる音楽をかけたり、面白がっていろいろやってみたらいいです。

 やりすぎて「わー、これじゃあ、逆に眠れない!」と笑い合ったり、どうぞお子さんの「怖い」という思いに、楽しく付き合ってみてください。そうこうするうちに、必ず、大丈夫になりますから。

 小さい頃、「宇宙の果てってどこにあるの?」ということが気になって怖くなった時がありました。「怖さ」って思いもかけないところから立ち現れて、生活の中で弱まったり強まったりする、大事な感情のように思います。すてきなお子さんですね。どうぞ今を大事につき合ってみてください。

(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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