亀田製菓とブルボンに「過剰包装やめて」 高校生の訴えが炎上、デマも拡散 メーカー側は「惑わされないで」と励まし

井上真典 ( 2020年7月30日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 「お菓子の過剰包装をなくしてほしい」とインターネットで署名を集めていた東京都内の私立高校1年の女子生徒(16)が7月28、29日、亀田製菓(新潟県)とブルボン(同)の東京オフィスを訪れ、集まった1万8737人分の署名を担当者に手渡した。提案には賛同の一方、生徒への中傷やデマも流れた。生徒は「声を上げただけで、汚い言葉でののしる人たちがいる」と心を痛めつつ、「署名を機にプラスチックごみの削減が進んでほしい」と願った。
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亀田製菓の担当者に手渡す署名を持つ女子生徒=東京都中央区で

あふれる中傷「高校生が出しゃばるな」

 「自分の主張を押しつけるテロリスト」「高校生が出しゃばるな」。生徒の活動を6月4日に東京新聞夕刊で報道した後、こんな中傷コメントが、掲示板やツイッターにあふれた。

 生徒は5月11日からオンライン署名サイトで、お菓子の過剰包装をなくすよう呼びかける署名活動を始めた。お菓子によっては袋を開けると、また個別に包装がある。トレーもついていて、出されるプラごみの多さに疑問を持った。

「グリコ・森永事件を知らないのか」

 エコ活動に先進的な両社が、さらに環境に優しい包装作りをしてもらいたいとの思いで取り組んできた。安心安全な品質を保つため個包装が必要なことは理解していたが、過剰なプラスチックをなくすよう、トレーをなくしたり、プラスチックに代わる材料を使用したりすることなどを求めていた。

 生徒には、「(1980年代にスーパーなどのお菓子に毒物が入れられた)グリコ・森永事件を知らないのか。毒物を入れる気なら通報する」といった非難のコメントも寄せられた。脳裏には、テレビ番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー木村花さん(22)が誹謗(ひぼう)中傷を受けた後に死去した事件がよぎった。両社へ署名を届ける日をネットで伝えたメディアもあり、誰か嫌がらせに来るかもと不安になった。「ネット上でのやりとりが現実世界の生活を崩す怖さを感じた」と表情を曇らせた。

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「個包装は、グリコ・森永事件が契機」と事実と異なった趣旨のツイートに1.3万人のリツイートがあった=一部画像処理

メーカー側は「署名に勇気づけられた」

 それでも、署名を提出できたのは、メーカー側や家族らの励ましがあったからだ。生徒が、亀田製菓の担当者に事情を伝えると「思いは理解している。惑わされないでください」とメッセージを受け取った。同社は2030年までに全商品をスリム化し、トレーをなくすなどの目標を立てており、担当者は「署名に勇気づけられた」と話した。

 ブルボンの担当者も「プラごみの削減は、全くその通りであり当社と方向性が一致するものと考えています」と理解を示した。

コメントで人を傷つけるのは簡単だが…

 ツイッターでは、「個包装は、グリコ・森永事件が契機となっているではないか」との趣旨のコメントが、約1.3万人にリツイートされた。だが江崎グリコ(大阪市)や森永製菓(東京都港区)に取材すると、事実ではないデマが拡散していたことが分かった。

 生徒は「人を傷つけるのは簡単だが、一生消えないこともある。ネットでコメントする人には気付いてほしい」と訴える。その上で「メーカー側には、思いを受け止めてもらえた。自信を持って発言できるようもっと勉強したい」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年7月30日

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