家事を「手伝う」感覚、そろそろやめませんか? 妻の病気がきっかけで反省した夫、男女兼用エプロンを開発

(2021年12月15日付 東京新聞朝刊)
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開発したエプロンを着けて自宅の台所に立つ吉原さん=いずれも鎌倉市で

 妻の病気をきっかけに家庭内のジェンダー問題に気づいた神奈川県鎌倉市の男性が、男女兼用のエプロンを開発した。家事を「手伝う」感覚だった自身への反省を込め、「そろそろ社会が気づかないといけない。エプロンの共有が一歩になれば」と力を込める。

「仕事が…」「疲れた」を理由にしていた

 エプロンは、安定した美感を与える比率として古来知られてきた「黄金比」を参考にした直線的なデザインで、柄はない。開発した吉原亘さん(47)は「身長175センチの自分でも小柄な女性でも不思議としっくりくる」と話す。薄手のオックスフォード生地で、120グラムと軽いのが特徴だ。

 きっかけは2年前、妻睦さん(46)に乳がんが見つかったこと。頼り切りだった家事や子育てを一手に担うようになった。吉原さんが経営する菓子工房で睦さんも働いていたが、吉原さんは家のことに「仕事がある」「疲れた」と関わらず、手伝う程度だった。「仕事を理由にされ、妻は強く言えなかったのかも」と、反省とともに振り返る。

 「やれば自分の方が料理はうまい」とも思っていたが、いざ取りかかると、他にも洗濯、掃除などこなすべきことは山積みで「毎日あって、しかも休めない。会社の仕事とは違う」と痛感。皿洗いでシャツが汚れたことからエプロンを買おうとしたが、男性用は種類が少なく、自分で布地を買ってミシンで縫った。

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エプロンは「黄金比」を参考にデザインした

自分が来世で女性だったら「相当違和感」

 「なんで男性用のエプロンがないんだろう」。考えを巡らせた。

 女性用のスーツはたくさん売られ、国も社会も女性に「働け」という。一方で、家では今まで通り家事や育児を求める。「自分が来世で女性だったら相当違和感がある」。ジェンダーを考えるきっかけになるようなエプロンを作ろう―。

 完成したエプロンを工房の女性スタッフにプレゼントしたところ、「夫は台所仕事をしない」「台所に入れたくない」など反応はいまひとつ。睦さんから「『手伝って』と言うのも疲れるから、女性はあきらめる」と鋭い指摘もあった。「女性が言い疲れて言わなくなり、困るのはいずれ捨てられる自分たち。やらないデメリットは大きい」と危機感はさらに高まった。

「マスオと波平をもっと台所に」とメール

 最近、テレビアニメ「サザエさん」の制作会社に、主人公サザエさんの夫マスオさんと父波平さんが台所に立つ場面を増やしてほしいと、メールを送ったという。「今、その二人はビールを取りに行くぐらい。アニメを見る子ども世代に、それが普通だと思ってほしくない」。男女兼用エプロンのニーズを社会で増やしたいと使命感に燃えつつ、今日も台所に立つ。

 「割烹(かっぽう)」とかけて名付けた「カッポレエプロン」は青、赤など4色、税込み7150円。購入や詳細はホームページへ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年12月15日

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