「ブックサンタ」今年はウクライナから避難した子どもたちにも 避難者もボランティアで準備に参加

日本の絵本にウクライナ語の翻訳を貼り付けるボランティアの避難者ら=東京都新宿区で

 経済的困窮、病気や被災など厳しい環境にいる子どもたちへクリスマスに絵本を贈る「ブックサンタ」の取り組みが広がっている。今年はロシアによる侵攻を受け、日本に避難しているウクライナの子どもたちにも絵本をプレゼントする。主催するNPO法人チャリティーサンタ(東京)の担当者は「戦争という苦しい経験を目にしてきた子どもたちへ、日本での温かなクリスマスの体験を届けたい」と話す。 

書店で寄付 厳しい環境の子に絵本を

 ブックサンタは、参加する書店で絵本などを買い、その場で寄付すると、ボランティアがクリスマスイブの今月24日、事前に希望した家庭をサンタクロースに扮して訪ね、高校生までの子どもたちに本をプレゼントする取り組み。病院や施設にも届ける。

 6回目となる今年は、国際協力などに取り組む公益財団法人日本YMCA同盟(東京)が参加。日本に避難しているウクライナの子どもたちにも絵本を贈る。

日本の絵本を在日ウクライナ人が翻訳

 YMCAは、避難者らが生活相談や日本語教室などで交流する「ウクライナカフェ HIMAWARI」(東京)で今月18日にクリスマス会を開催。ブックサンタに寄付された絵本50冊を子どもたちに手渡す。

 贈る本は「いないいないばあ」や「ぐりとぐら」「だるまちゃんとてんぐちゃん」など日本で愛され続けている作品。ウクライナ語の翻訳は日本で長く暮らしている在日ウクライナ人が担当した。

ウクライナ語に翻訳した絵本

「本を読む時は悲しみから解き放たれる」

 11月上旬、準備作業中のカフェを訪ねると、ボランティアの避難者らがウクライナ語訳のプリントをはさみやカッターで切り取り、絵本にマスキングテープで貼り付けていた。

 娘と日本に避難している作家のトニー・ツイストさん(60)は「本を読む時は夢中になり、悲しみからも解き放たれる。子どもたちがウクライナ語を忘れないためにも大切な取り組みで、必ず参加したかった」。4月から避難生活を送るマリナさん(15)もボランティアに加わり、「絵本をもらった子どもたちはうれしい気持ちが湧き出てくると思う」と笑顔を見せた。

完成した絵本を手に笑顔を見せるウクライナからの避難者たち

 チャリティーサンタ代表の清輔(きよすけ)夏輝さん(38)は「ウクライナの子どもたちにも何かできないかと気にかけていた。YMCAと連携できて良かった」と話す。

物価高に苦しむ家庭へ…寄付を受付中

 清輔さんによると、今年ブックサンタに参加した書店は全国47都道府県の779店舗で、昨年の約1.7倍に増えた。今年は物価高の影響で「プレゼントを用意できない」といった生活苦を訴える家庭が目立つという。

 昨年寄付された絵本は3万5162冊。今年は11月末時点で1万4468冊集まっており、今まで寄付された絵本をクリスマスプレゼントとして3万人の子どもたちに届ける予定だ。

 絵本を届けてもらう側の申し込みは終了しているが、寄付は12月24日まで募っている。参加している書店や詳しい寄付の方法はブックサンタの特設サイトで案内している。

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