大掃除は乳幼児の事故に注意! 換気中に転落、洗剤の白い泡をお菓子と勘違い… 専門家がチェックポイントを解説

藤原啓嗣 (2022年12月23日付 東京新聞朝刊)
 今年も残りわずか。大掃除に取りかかる家も多いだろうが、ちょっと待って。大掃除は、自宅内の環境を見直して子どもの事故防止を考えるチャンス。一方で、その最中は子どもにとって危険な場面が少なくない。専門家が指摘するポイントを押さえて、明るい年末年始を過ごしたい。

図解 大掃除で子どもが危険に遭わないためのチェックポイント

掃除中の救急搬送 12月が最多

 「事故は、日常から離れて注意不足になった時に起こりやすい。大掃除も非日常で、例外ではないですよ」。そう指摘するのは、あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)内の「こども事故予防ハウス」で、事故予防教室を開く保健師岩田歩子(あゆみ)さん(33)。

 こども事故予防ハウスは、オーストラリアの施設を参考につくられ、電池の誤飲から風呂場での溺水まで家庭内で起きる事故を解説。家の中を再現し、具体的な対策も展示している。

 東京消防庁の過去5年間の統計によると、掃除中の事故で救急搬送された人は、12月が計623人。他の月は計237~366人といい、群を抜いて多いという。

5歳児が140cmの高さを自力で

 掃除を始める前に、まずは子どもの安全を確保したい。岩田さんは「子どもから目を離さないよう、見守り役を決めよう」と呼びかける。ゼロ~1歳児は、ベビーベッドの上に寝かせておくのが望ましい。幼児は家族の協力を得て外に連れ出してもらうのがいいが、そうできないこともある。

 掃除中に気を付けたいのは、換気で窓を開け放つと子どもは身を乗り出したりベランダに出たりしやすくなること。今年は東京都内や千葉市で子どもが高層階から落下し、死亡する事故が起きた。手すりの高さが140センチあっても、5歳児の多くが自力で乗り越えられるという実験もある。

 岩田さんは「子どもが乗ると危ないから、ベランダにはなるべく物を置かない方が良い。室外機やプランターも、大掃除の際に置き場をいま一度考えて」と助言する。

塩素系漂白剤を吹きかける際は

 掃除で使う洗剤も要注意だ。普段より塩素系漂白剤を使う機会が増えやすく、洗剤が目や口、鼻に入らないように気を配る必要もある。「窓用の白い泡状の洗剤は、子どもがお菓子と勘違いしてなめる可能性がある。窓に吹きかける時には背が低い子どもの目に入らないようにして」と岩田さん。

 照明器具を拭くなど高い所の作業では、足場となる椅子や脚立に子どもが乗ってけがをすることもあるので配慮を。事故予防に詳しい日本大の八藤後猛(やとうごたけし)特任教授(66)=建築安全計画=は「足場を子どもが自分でベランダなどに動かすこともあるので気を付けて。掃除後は、家具を整理整頓して、危険に感じる物を子どもの目につく所に置かないことが大事」と語る。

生活習慣を見直すきっかけにも

 大掃除は、普段の生活習慣を見直すきっかけにもなる。改めて子どもの目線で自宅内を見返し、階段上からの転落を防ぐための柵や、包丁を入れる台所の扉の補助錠、窓からの転落を防ぐための防犯用補助錠などを検討したい。電気ケトルは倒しても湯がこぼれにくい機能付きにするなど、電化製品の安全性に目を配るのも大切だ。

 岩田さんは「全ての事故を防ぐことは難しいが、致命的になるのを避けるため、保護者が見守る環境を整え、子どもの年齢に合わせてアップデートしていってほしい」と話した。

3

なるほど!

0

グッときた

0

もやもや...

0

もっと
知りたい

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

/1000文字まで

編集チームがチェックの上で公開します。内容によっては非公開としたり、一部を削除したり、明らかな誤字等を修正させていただくことがあります。
投稿内容は、東京すくすくや東京新聞など、中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ