子育て中でも自分の大切なものを手放さず、そっと握っておいてください 「子育てすくすくフェス」歌&子育てトーク

思い思いの場所で自由に動きながら子どもたちも楽しんだ「子育てすくすくフェス」=豊島区の自由学園明日館講堂で

 国の重要文化財・自由学園明日館講堂(東京都豊島区西池袋)で6月4日に開催した親子向けのイベント「子育てすくすくフェス~ほっとして笑えるひとときを一緒に~」の様子を詳しく伝えます。第1部の「スペシャルトークショー」に続き、第2部では歌をプレゼント、第3部の「子育てトーク」では、子育て中の親が「自分の大切なものをそっと握っておく」ことの大切さについて語りました。

第2部 子どもたちも一緒に歌いました♪

伸びやかな歌声を響かせた大石亜矢子さん

 第2部は、大石亜矢子さん(48)がアイメイト(盲導犬)のイリーナちゃんと登場し、ピアノの弾き語りで会場を魅了しました。

大石さんの足元でおとなしくしているイリーナちゃん

 足元にイリーナちゃんを寝そべらせ、黄色いワンピースでピアノに向かった大石さん。最初の歌「にじ」を披露すると、来場者に「目をつぶってみてください」と呼び掛け、「見えなくても、音や熱でいろんなことを感じられます」と伝えました。

大石亜矢子さんの歌に合わせて、リズムを取る親子

 「あめふりくまのこ」「さんぽ」と伸びやかで明るい歌声を響かせる大石さんに合わせて、子どもたちもお父さんやお母さんの膝の上で体を揺らしたり、ハイハイスペースで立ち上がって手拍子をしたり。「幸せなら手をたたこう」の歌では、大石さんが「次はどこをたたきたい?」と投げかけると、子どもたちから「ほっぺ!」「あご!」とかわいらしい声で返事がありました。

 大石さんのかけ声に合わせて、頰やあごを小さい手で一生懸命たたく子どもたちの姿を、隣にいるお父さんやお母さんが優しく見つめていました。

第3部 子育て中に「自分をどう見つめていくか」

「子育てトーク」に登壇した(右から)森祐美子さん、齋藤美和さん、「別冊 婦人之友」の山下謙介編集長

 第3部の「子育てトーク」では、親子がホッとできる居場所づくりに取り組むNPO法人「こまちぷらす」理事長の森祐美子さん(41)と、しぜんの国保育園small villageの園長・齋藤美和さん(42)が登場。「別冊 婦人之友」編集長の山下謙介さんの司会で、子育て中の親が「自分をどう見つめていくか」について、自らの体験を交えて語りました。

森祐美子さん

 高校2年生の娘と中学3年生の息子を育てる森さんは、「16年前に出産した当時、自分が空っぽになり、すり減っていく感覚に陥った」と振り返りました。「誰かに助けを求めたり相談に行ったりする発想がなかったし、親子が集う場に出かけても、誰とも仲良くなれずに帰ってくることもよくあった」という子育て初期の体験から、「子育て世代が足を運べる場所を」とカフェを始めたと言います。

齋藤美和さん

 157人の園児が通う東京都町田市の認可保育園で園長を務める齋藤さんは、「保育園は預かる・預ける場ではなく、大人と子どもが一緒に暮らしていく場。保護者と一緒に悩みを分かち合いながら、子どもを見ていく場です」と話します。「子どもと一緒にいるからこそ出合える風景やものを大切にしたい」と話す齋藤さんですが、「子育て中だからといって『すべて子どもが中心』にはなかなかできない。自分の好きなことを手放さず、今はできなくても、そっと握っておいて」と言います。

 森さんも「自分のための、そのひとかけらを手放さないことが、3年後、5年後、10年後に、子どもに非常にいい影響を与えるんですよね」と応じ、「親が相談相手にはなれないことがいっぱい出てくる中で、いろんな大人とつながれると子どもも楽になれる」と話しました。

来場者の声「安心して楽しめた」「心が元気になった」

 隣の建物では子ども向けのワークショップを開き、会場の音声も流しました。来場者の声を伝えます。

埼玉県所沢市の高橋佳一さん(36)/1歳と5歳の男の子2人と妻と来場

 「どこに行っても子どもが騒がしくしないか気になってしまうが、今日はみんな同じ状況なので安心して楽しめた。子どもが飽きないようにワークショップがあるのもいいですね」

千葉県流山市の林大介さん(30)と、妻の実季さん(29)/2歳4カ月の長女と来場

 大介さん「子どもと一緒に参加できるイベントがいいと思う。子どもと遊びながら、妻にゆっくりトークショーを聞いてもらえたのも良かったと思う」

 実季さん「コロナ禍の出産で、イベントもなかった。今日みたいに先輩ママ、パパの話を聞いたり、いろんな家族の姿を見ることができて良かった。親子ともどもリフレッシュになりました」

埼玉県川口市の設楽さくらさん(36)/1歳の次男と来場

 「事前質問に書いていた『イライラした時の対処法』を取り上げてもらえてうれしかった。菊池亜希子さんや加瀬健太郎さんのお話を聞いて、みんな一緒なんだな~と思ってほっとした。イベントは自由に聞ける感じで良かった」

埼玉県富士見市の大木真梨子さん(37)/1歳6カ月の男の子と友人と来場

 「息抜きする場所があって良かった。子どもが何をしても包み込んでくれる雰囲気があり安心していられた。心が元気になりました」

東京都練馬区の青山渚さん(40)/生後6カ月の子を抱っこして友人と来場

 「この建物が会場で、子どもと一緒に入っていい、ということに驚き、うれしかったです。靴を脱いで上がれるスペースがあるのもいいですね。途中で赤ちゃんが泣いたけれど、すぐ隣の建物でおむつ替えができたので助かりました。その建物でも、会場の音が流れてくるのがとても良かったです」

どんなイベントに行きたいですか? ご意見をどうぞ

 「子育てすくすくフェス」に参加してくださったみなさん、お越しいただきありがとうございました。応募したけれど惜しくも外れてしまったという方、当選したけれど当日お子さんが体調不良になって…という方もいらっしゃいました。少しでも会場の雰囲気が伝わればと詳報しました。

 東京すくすくは、今後も「子育て世代がほっとできるイベント、安心して参加できるイベント」を企画していきたいと考えています。「こんなイベントに行ってみたい」というリクエストがありましたら、こちらのお問い合わせフォームからぜひお寄せください。

◇「すくすくフェス」第1部の菊池亜希子さん×加瀬健太郎さんスペシャルトークショーのもようはこちらです。

(前編)子育てのイライラにどう向き合う? 

(後編)子育てのモットーは「日々模索」「そのうちなんとかなるだろう」