うちの赤ちゃんはヨーグルトの匂いがする〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉

(2021年8月6日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

お父ちゃんやってます!加瀬健太郎

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 「100%生乳でできています」

 というのは、どこかのアイスクリームの成分ではなく、うちの四男のこと。まだほぼ母乳で育てている。

 お母ちゃんのおっぱいは「赤ちゃんが吸う為(ため)にあるんやで~、お父ちゃんのもんとちがうのんやで~」と月亭可朝さんが歌っておられたが、まさにその通り。

 四男は今、ミルクで作ったババロアみたい。プニュプニュでポニョポニョ。

 四男の口に鼻を近づけてみる。驚いたことにヨーグルトのような匂いがする。さすがは、100%生乳。

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 そして、ふわっふわで柔らかい髪の毛にすりすりと頬ずりし、頭皮の匂いを胸いっぱいに吸い込む。あー、アロマセラピー。

 この匂いは、気がつくと成長とともになくなってたりするので、今が旬の嗅ぎどき。「またすりすりしてなかった? キョンキョン(四男のあだ名)の頭、臭いんだけど」と、妻から苦情が出たりするが、これだけは止められない。

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 この前、お風呂に入っていたとき、四男は、不思議そうに僕の乳首をじーっと見つめていた。と思ったら、赤ちゃんとは、思えない強い力で、僕の乳首をギュッとつまんだ。「ウッ」、痛い。

 君はまだ知らないと思うけど、男の乳首は絵に描いた餅、電池の切れたスマホ。なんの役にも立たないよ。お父ちゃんもできるものなら、君がおなかいっぱいになって、うとうと眠りにつくまで飲ませてみたい。「お父ちゃんのおっぱいは~、赤ちゃんが吸うためにあるんやないんやで~」と歌いながら、僕のせいで臭くなった四男の頭を洗ってあげました。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

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 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。10歳、8歳、3歳、0歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。東京・吉祥寺の「Prism Lab.KICHIJOJI」で、加瀬さんの写真展を開催中。9月5日まで。

すくすくボイス

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コメント

  • 匿名 より:

    すごく良い記事でした。お父さんによる純粋な赤ちゃんへの観察・感覚・感動ってあんまり読んだ事がなかったな〜とふと思いました。もっと読みたいです!!

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