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養育費不払い「逃げ得」許さない! 法改正で差し押さえしやすく 銀行口座などの情報、自治体から取得

(2019年6月14日付 東京新聞朝刊)
 裁判などで決めた子どもの養育費が支払われず、金銭的に苦しむ家庭は多い。そうした中、元配偶者の財産の差し押さえがしやすくなる改正民事執行法が5月、成立した。シングルマザーらひとり親を支援する関係者は法改正を「画期的」と評価。「滞った支払いの再開につながる」と期待を膨らませる。 

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これまでは、自力で情報を入手する必要…実際は困難

 神奈川県内の福祉施設に勤める女性(48)は14年前、三つ年上の夫と離婚。当時5歳だった長男を一人で育ててきた。調停で、養育費は「長男が成人するまで、月5万円」などと決めたが、支払われたのは最初の3カ月だけ。元夫は勤めていた会社を辞めてしまい、携帯電話もつながらなくなった。

 一方、女性は子育てに加え、週5日はフルタイムのパート勤務。毎日忙しく、いつしか「不払いも仕方ない」とあきらめた。

 考えが変わったのは、長男が高校3年になった昨年だ。大学に進ませようと児童扶養手当などをためていたが、入学金と1年目の学費でほぼ消えてしまうことが分かった。そこで、司法書士に依頼して元夫の現住所を確認。家庭裁判所から養育費の支払いを勧告してもらった。ただ、4回に分けて計7万円を受け取ったところで、支払いは再びストップ。元夫は手紙に「新しい家庭がある」と記し、金銭的に余裕がないことをほのめかしてきた。

 現在の民事執行法では、預貯金や給与を差し押さえるには、自力で、相手の口座がある金融機関の支店名や勤務先を特定することが求められる。しかし、普段から密に接していないと、こうした情報を入手することは難しい。女性も、元夫について分かっているのは現住所だけだ。

差し押さえしなくても「逃げられない」の意識強まる?

 1年以内に施行される改正民事執行法には、「逃げ得」ともいえるこうした状況に歯止めをかける仕組みが設けられた。確定判決などに基づいて地方裁判所に申し立てれば、相手の預貯金の口座情報や勤務先の情報を、対象の金融機関や、住民税の徴収などを基に職場を把握している市町村などから取得できるようになる=図。養育費の相談ダイヤルを設けるなど、ひとり親家庭を支援する全国青年司法書士協議会の元会長広瀬隆さん(48)は「圧倒的に差し押さえがしやすくなる」と話す。

 一方、差し押さえまでしなくても、法の改正で「逃げられない」と思えば、支払い義務を負う人の意識が変わることも期待できる。2016年の全国ひとり親世帯等調査によると、母子家庭で養育費について相手と取り決めをしているのは42.9%、そのうち調査時点で受け取っている世帯は約半分の53.3%だ。

離婚時、公正証書に差し押さえ「認諾」の項目を

 17年の人口動態統計によると、未成年の子どもがいる夫婦の離婚は年間12万件を超える。スムーズに差し押さえをするには、養育費に関する取り決めを公正証書にした上で、「約束通りに支払わない場合は強制執行で差し押さえられても異議がない」ことを意味する「認諾」の条項を入れることが大事だ。認諾があれば、調停などを申し立てなくても、いきなり差し押さえができる。

 離婚を急ぐあまり、養育費について何も約束しないまま別れる人は少なくない。しかし、広瀬さんは「子どもには養育費を受け取る権利があるので、きちんと取り決めをして」と訴える。

無料で相談ができます 

 全国青年司法書士協議会は毎週金曜(祝日は除く)の午後1~3時、電=03(3351)4911=で養育費に関する相談を受け付けている。司法書士が対応。相談は無料。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年6月14日