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一時保護所で「個別指導」という名の”罰” 東京都は否定も、運営手引きを改正へ 髪の黒染めは取りやめ

岡本太、森川清志 (2019年9月11日付 東京新聞朝刊)
 虐待を受けた子どもらを保護する東京都の一時保護所が「個別指導」の名目で子に罰を与えていると都の第三者委員が指摘した問題で、都は10日、指導方法を定めた「一時保護所運営の手引き」を本年度中に改正する考えを明らかにした。
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40ページにわたる意見書。一時保護所の具体的な問題点が指摘されている

子どもの声を聴く意見箱も設置

 10日の都議会本会議で内藤淳福祉保健局長が答弁した。都は個別指導の際、子どもへの説明が不十分なケースなどがあったとし、内藤局長は手引を改正する中で「個別指導のあり方を検討する」と述べた。ただ懲罰的な個別指導の存在については今も否定している。

 一方、第三者委員が「半強制的な場合がある」と指摘した髪の毛の黒染めについては、今月中に取りやめると説明。都は「半強制的に行っていた事実はないが、髪の色は個人の自由として尊重されるべきだと判断した」としている。このほか子どもの声を聴く意見箱も一時保護所に設置する。

 都の第三者委員は今年3月に提出した意見書で、都内の一時保護所が、私語などした子をついたて内で寝起きさせたり、辞書の書き写しをさせたりする「個別指導」を行っていると指摘。こうした指導は罰でしかなく一時保護所の理念にふさわしくないとして、「すぐにでもやめるべきだ」と改善を求めていた。(岡本太)

廊下で就寝…「罰ではない」と言えるのか? 都はまず実態把握を

 都内の女性(23)は中学2年の時、都足立児童相談所の一時保護所に入ったことがある。おしゃべりを怒られたことに反抗したら「個別」と言われた。廊下に卓球台で仕切られた畳1畳ほどの空間がつくられ、数日間、ほかの子から隔離されて1人で辞書の書き写しをさせられた。夜はここに布団を敷いて寝た。

 個別指導がいつまで続くかは教えてもらえず、「床が硬いから痛くて寝られない。罰でしかないと思った」と振り返る。今年、この一時保護所に入った10代の女子生徒も、同じような経験を本紙に証言した。かなり以前から懲罰的な指導が行われてきたとみられる。髪の黒染めについても女性は入所時、窓のない小さな個室に入れられ、「染めないとここから出られない」と言われたという。

 都の手引は個別指導について「絶対に罰として行ってはならない」と規定している。一時保護所を訪問調査してきた都の第三者委員(弁護士)は今年3月、私語などを理由に個別指導と称して「罰を与えている」と批判したが、都は本紙の取材に「罰として行っていた事実はない」と否定してきた。

 都は今回、手引を改正する方針を示した。だが、実態を正確に把握しないまま改正すれば、保護された子どもたちは安心できず、信頼も得られないのではないか。(森川清志)