どうなる?23区の児童相談所設置 世田谷、江戸川、荒川は来年4月 人材確保できず延期の区も

東京ニュース取材班 (2019年11月5日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 相次ぐ児童虐待事件を受けて児童相談所の体制強化が進む中、東京都23区のうち世田谷、江戸川、荒川区が来年4月の児相開設を予定している。児童福祉法が改正され、区も児相を開設できるようになった。ただ、身近な基礎自治体として児相開設に積極的な区がある一方、人材確保などに課題があり、まだ様子見の区も。現状を追った。 
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建設が進む江戸川区の児童相談所

江戸川区 都より手厚い42人

 「児童福祉司が、虐待の調査や移動に時間を取られがち。子どもと接する時間を長く取れるようにしたい」。江戸川区の児相開設を担当する上川光治参事は語る。児童福祉司の定員は42人を予定する。

 都が運営する江東児相よりも手厚い配置で、保護者対応のために常勤の弁護士も置く。虐待などで保護された子どもが最初に入る一時保護所は、従来の大部屋ではなく個室を用意する。世田谷、荒川両区も同様に個室を設けるという。

児童相談所の開設時期(9月時点)
2020年度 世田谷、江戸川、荒川
2021年度 港、中野
2022年度 品川、文京、豊島、北、板橋
2023年度 葛飾
2024年度 新宿
2025年度 江東
(未定)  千代田、中央、台東、墨田、目黒、大田、渋谷、杉並、足立

世田谷区 保護中も通学OKに

 また、世田谷区は里親などへの一時保護委託を積極的に進め、保護中も子どもが学校に通える環境を整える方針。同区の長谷川哲夫担当課長は「子どもにできるだけ日常の生活を過ごさせてあげたい」と話す。

 運用は手探りの面もある。3区は児童福祉司になる職員を都内外の児相に派遣し、現場経験を積ませてきたが、習熟には5~10年かかるとされる。江戸川区の上川参事は「職員を育成しながら相談対応するので、大変」と明かす。

 都や他区との連携も課題だ。虐待などがあって、親の近くで子どもを預けられない場合、都や他の区の里親や児童養護施設に委ねることが想定される。都内のある里親は「区の児相に期待をしているが、分かれた行政間の情報共有は高いハードル。きちんと体制整備をしてほしい」と話す。

練馬を除く22区が設置予定だが…

 練馬を除く22区が児相設置を予定している。だが、時期が未定な区が多く、板橋と新宿は開設時期の延期を決めた。多くの区の課題は人材確保だという。多発する虐待事件を受けて、どこの児相も児童福祉司を増やそうとしており、品川区の担当は「圧倒的な人手不足」と訴える。

 財政面の不安もある。児相の運営費は年間数十億円。区側は、都に財源移譲を求めているが、可否が決まるのは来年2月ごろの見通し。「心配で、はやく解決してほしい」(新宿区の担当)という声が上がる。

 こうした背景から、児相を設置できる全国の中核市58市のうち設置しているのは、神奈川県横須賀市など3市のみ。都幹部は「手を下ろす区も出てくるのではないか」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年11月5日

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