世田谷の児童養護施設で少女に「ブス」 職員の暴言が虐待認定 東京都が暴力についても再調査

石原真樹、岡本太、森川清志 (2019年2月14日付 東京新聞朝刊)
 東京都世田谷区の社会福祉法人「福音(ふくいん)寮」が運営する児童養護施設のグループホームで、職員が入所中の少女に「ブス」などと暴言を浴びせ、都が虐待と認定したことが、寮への取材で分かった。都は改善指導したが、さらにその後、少女への暴力もあったという別の通告が寄せられ、再調査している。都児童相談所が最初の調査で少女を呼んだ際、この職員が同行しており、少女が十分に被害を訴えられなかった可能性がある。
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虐待のあったグループホームを運営する社会福祉法人「福音寮」の本園=13日、東京都世田谷区で

少女の聞き取り調査、同行したのは加害職員

 飯田政人園長(施設長)によると、昨年5月、ホームに入所する少女が職員から暴言や暴力の虐待を受けていると児相に通告があった。都や児相は調査の結果、職員が少女に「ブス」「遅い」「みんなが困っている」と言ったとして、心理的な虐待と認定。9月に文書で改善を指導した。暴力など身体的な虐待は確認できないと結論付けた。

 児相に通告があった直後、児相はホームに事情を明かさぬまま、少女を連れてくるよう依頼。翌日、少女は後に都が虐待を認定した職員に伴われて来た。

 飯田園長によると、職員は聞き取りに同席しなかったが、少女は安心して話せなかった可能性がある。その後、この職員による少女への暴力もあったという別の通告があり、都は昨秋、再調査を始めた。

暴言を認めたが暴力は否定…今年1月に退職

 都の担当者は「個別の事案については話せない」とした上で、一般論として「加害の可能性が明らかな職員に被害児童を連れて来させることは適切ではない」とコメントした。飯田園長によると、虐待を認定された職員は暴言は認めたが、暴力は否定したという。職員は今年1月に退職した。飯田園長は「虐待の認定を受けたのは事実で申し訳ない。再発防止を徹底する」と話した。

 同ホームを巡っては、入所中の少年を部屋に長期間閉じ込めたとする別の通告もあり、都が調査している。飯田園長は少年への虐待は否定している。

 福音寮は1952年、社会福祉法人として養護施設の運営を開始。現在は児童養護施設の本園のほか、都内で小規模のグループホーム6カ所を運営している。

児童養護施設とは

 児童福祉法に基づき設置され、親の不在、虐待や経済的理由、病気などで、家庭で暮らすことが難しい原則18歳未満の子どもを受け入れる施設。厚生労働省によると2016年10月現在、全国に603カ所あり、2万7288人が暮らす。グループホームは民間住宅などを活用し運営する施設で、定員6人程度。

「加害職員の同行、ありえない」 子どもの最後の砦、安心はどこへ 世田谷の養護施設虐待(2月14日)

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