日本ブラインドサッカー協会が視覚障害児向けに運動教室 画面越しにトレーニングを指南

兼村優希 (2020年7月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 競技団体の存在意義は選手を支えるだけだろうか。日本ブラインドサッカー協会は新型コロナウイルス禍の中、オンライン運動教室を開き、生活相談も受け始めた。いずれも対象は視覚障害のある人たち。競技の枠にとらわれず、幅広いニーズに応えている。
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オンラインでつながったキッズトレーニングの参加者=日本ブラインドサッカー協会提供

ストレッチや簡単なゲームで体を動かそう

 協会の普及部コーチと小学生8人がZoomでつながった。画面越しでコーチの指示を聞き、子どもたちは思い思いにストレッチをする。6月下旬、協会が開いた教室「キッズトレーニング」のひとこまだ。

 習熟度別に2班に分かれ、「だるまさんが転んだ」などの簡単なゲームをして、1時間ほど体を動かした。「楽しかった。今度はボールを使った運動もしたいな」。神奈川県立平塚盲学校小学部3年の新倉(にいくら)将希君(9つ)は声を弾ませた。

目で見てまねできない子どもたちのために

 元々、2013年から対面で行ってきたプログラム。コロナ禍で外出の機会が減った子どもたちを手助けできればと、今年5月にオンラインに切り替えた。

 子どもたちは目で見て動作をまねることができない。指導は対面でも簡単ではなく、オンラインなら、なおさら。「トライアンドエラーの連続です」。コーチの菅野(かんの)慎太郎さん(30)は苦笑しながらも、画面に映る子どもたちの笑顔をうれしそうに見つめる。

 協賛するSMBC日興証券社員も参加。「障害者理解にもつなげたい」と力を込める菅野さんは、協会が掲げる「視覚障害者と健常者が当たり前に混ざり合う社会」の実現を見据える。

各界で活躍する視覚障害者を招いて講演

 全国に緊急事態宣言が発令されていた5月初めには、新企画「親子広場」をオンラインで始めた。広告や教育など各界で活躍する視覚障害者を招き、社会との接点が少なくなりがちな子どもとその家族に講演してもらった。最初の8回で、のべ280人が参加するなど好評。担当者は「話を聞くことで、将来に向かって主的に行動できるようになってくれれば」と願う。

 4月に始めた「おたすけ電話相談窓口」は、協会職員9人が祝日を除いて連日対応している。「視覚障害者にも分かりやすいエクササイズは」「盲導犬のストレス発散方法を知りたい」。多様な相談が寄せられるたび、72時間以内を目標に回答してきた。「個別性に応じて対応したい。社会情勢が不安な中、少しでもお役に立てれば」と担当者。

 目の不自由な人たちの道しるべとなるべく、草の根の取り組みは続く。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年7月16日

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