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やって知ろうパラリンピック競技 アイマスクでサッカー「ブラサカ」 小中学生向け体験会が人気

加藤健太  
 全盲の選手がアイマスクを着け、激しくぶつかり合うブラインドサッカー。競技が実施される東京パラリンピックが来年に迫り、今やチケットが完売する人気ぶりだ。東京大会でメダル獲得を目指す日本代表はITを駆使した戦術で急成長。競技団体は「子どものころから親しんでもらい、裾野を広げたい」として、小中学生向けの体験会などに力を入れている。

2020を前に急成長 「本当に見えてない?」驚きのスピード

 初めて観戦する人は決まって「本当に見えていないの」と驚きの声を上げる。選手たちはスピードに乗ってドリブルし、細かくパスをつないでゴールを決める。実際に体験してみると、視界を遮られた怖さで一歩を踏み出せず、ボールを足元で転がすだけで精いっぱいだった。

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 パラリンピックでは5人制サッカーの名で実施される「ブラサカ」。1998年、初めての世界選手権が開催され、日本には2001年に上陸した。日本選手権に出場するチームは22まで増え、そこから選ばれた代表選手がサムライブルーのユニホームでプレーしている。

 パラリンピックでは04年アテネ大会から正式競技になった。これまで日本は出場したことがないが、開催国枠で出場する東京大会でのメダル獲得に向けて、着実に力を付けている。

 昨年8月、パラリンピック4連覇中のブラジルと、強豪アルゼンチンに0-0と善戦。今年3月には格上スペインから勝利をもぎとった。背番号10のエース川村怜(りょう)選手(30)は「チームが成長している感覚がある。日本人でも世界一に近づけることを証明したい」と意気込む。

 躍進を支えるのが、高田敏志監督(52)が進めるデータの活用だ。IT企業に勤めた経験を生かして、過去の試合映像からパスの成功回数などを数値化し、課題の攻撃力を強化した。プレーする位置はピッチを9分割して細かく指示を飛ばす。

 周囲は「目が見えない選手にそこまで要求するのか」とささやいたが、高田監督は「彼らはアスリートなので妥協するのは失礼」と選手に向き合った。

 選手とブラインドサッカーとの出合いはさまざまだ。視力を失うまでサッカーに打ち込んできた選手もいれば、生まれつき目が見えずサッカー自体を見たことがない選手もいる。高田監督は「選手の成長にいつも驚かされる。人間の可能性を表現できる競技だ」と魅力を語る。

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来たれ!次世代のサムライ 「2024年世界一が目標」

 東京パラリンピックの試金石として3月に東京・品川で開催された国際大会では、日本戦でチケットが完売する日もあった。世間の関心が高まる一方、競技の普及には課題がある。日本ブラインドサッカー協会(東京)は「裾野を広げるには子どものころからボールに親しむ機会を増やす必要がある」と語る。

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日本ブラインドサッカー協会のキッズトレーニング(日本ブラインドサッカー協会提供、下の写真も)

 背景には、視覚障害のある子が通う特別支援学校の多くで、ブラインドサッカーが授業で取り入れられていない現状がある。東京都教育庁の担当者は「かなり激しいスポーツなので接触の危険がある。指導者もいない」と説明する。

 そこで協会は、教育現場での導入を働き掛けつつ、小中学生を対象にした体験会を2カ月に1度のペースで開いている。2013年に東京と大阪で始め、今では名古屋や仙台、福岡などでも開催する。競技性を高めた上位プログラムも用意して、興味を持った子がプレーを続けられる環境をつくっている。

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 体験会は次の世代の発掘や育成も目的としている。実際、強化指定選手として日本代表入りしている園部優月(ゆづき)選手(15)は参加をきっかけに本格的に打ち込むようになった。女子日本代表のエース菊島宙(そら)選手(17)も同じく体験会でブラインドサッカーと出合った。

 協会によると、競技人口は約500人。多くが国内のクラブチームに所属して技を磨いている。中学生以上であれば居住地に関係なくどのチームにも所属できるが、現在あるチームは都市部に偏りがち。協会は「もっと身近にプレーできる場を」と47都道府県でのチーム設置を目指している。

 18回目となる日本選手権は6月に予選ラウンドがあり、沖縄県勢の初参戦で盛り上がりをみせている。協会の広報担当、早川忠宏さんは「私たちの目標は世界一になること。24年のパラリンピックで実現したい」とビジョンを熱く語った。