〈坂本美雨さんの子育て日記〉6・子連れ出勤葛藤の日々

(2016年11月25日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

坂本美雨さんの子育て日記

東京・築地にて撮影中、付き合ってくれた家族とパチリ

仕事復帰は生後2か月

 子育て中の友人たちと話していると、必ず話題にのぼるのが保育園のこと。この時季はとくに来春入園の申し込みのため、げっそりしながら書類をそろえる友人たちも。わが家はといえば、園に申し込むべきか、気持ちは常にグラグラと揺れながら、現時点ではシッターさんにお世話になりながらの共働きです。

 私は産後の仕事復帰がとても早く、生後2カ月足らずでした。これから産む方には、産後はたっぷり休んで赤ちゃんとじっくり過ごすことをお勧めしますが、当時は産んだ後にどういう体調と心境になるか分からないまま事前に予定を組んでしまったので、とにかく動きだすしかなかったのでした。月齢が低すぎて、預けるという選択肢はなく、幸運なことに、もともとお友達だった方がシッターの資格と経験があったので、子連れ出勤して現場で見てもらうというスタイルで始動。これまでラジオ、スタジオ、ライブなどすべての仕事に連れていき、まる1年がたちました。

 子連れ出勤で大変なことといえば、まずは移動。私は運転できないので、移動は電車がメイン。2カ月の子を抱いて、日本でもトップクラスに混んでいる地下鉄で出勤するのは、世の中のすべてからこの子を守らなくてはと、人混み、強い風、たばこの煙、見えない菌に至るまで全方位にバリアーを張って歩いているような気分でした。仕事はなるべく午後5時までに終わるように組みますが、延びて6時を過ぎると、ラッシュで大変な思いをすることも。

たくさんの大人に見守られて…

 現場では見守ってくれる人が他にもいるのでホッとするけれど、そこではやはり「かぁちゃんと離れる」という難しさも。特に6~8カ月ごろは、私がラジオのブースに入るたびに号泣し、シッターさんは廊下をウロウロ…。自分の番組のスタッフだけでなく、他のスタッフさんたち、ラジオ局の受付のお姉さん、守衛さんなど、皆さんが笑顔で接してくださることに、本当に救われてきました。

 この1年で娘も成長し、徐々に母の仕事を理解しつつあります。初めての方とお会いしても無邪気にいてくれるおかげで、その場の空気がほぐれることも。私の仕事は、娘との二人三脚。さまざまな人に会って愛情や刺激を受けることは、きっと娘にとって良いはずと信じる気持ちと、親の都合で連れ回していることへの申し訳なさと、日々葛藤が続きます。(ミュージシャン)

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