寺田静参院議員(後編) 政治の世界に女性を増やすには、男性の家庭進出を〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉

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息子が幼稚園の時に書いたヒマワリの絵を横に、笑顔を見せる寺田静さん

本音で話しちゃう!のタイトルカット

「イギリスも30年前はそうだったから」

 前編に続き、今回のリレーコラムを担当する参院議員の寺田静です。

 少し前に、広島県の子育てに関する広報物が話題となりました。「働く女性応援よくばりハンドブック」というものです。「働くこと」「子育てをすること」の両立を、「よくばりだ」と言っているように見えることが批判されたのです。仕事も子育てもしたいという個人の願いを「よくばり」と断罪している価値観と決別しなければ、少子化問題を解決するのは不可能だと感じます。

 イギリス人の夫を持つ友人は、日本で女性が働くことがいかに大変かを愚痴っていたら、夫に「イギリスも30年前はそうだった。だから頑張れ」と言われたそうです。

 研究職に就いた女性の知人らは独身が多く、研究職同士で結婚をすれば、女性の側だけが出世コースからハシゴを外されたように見えます。同じ会社に勤めている友人カップルも同様です。それが純粋に彼女たちの選択の結果であればいいのですが、そうとはいえない環境がいまだ女性たちを取り巻いています。そして、こうした私たち世代の女性たちがおかれている状況を見て、若い世代は結婚や子どもをもつことに積極的にはなれずにいる。この状況を放置したままでは少子化を解決することはできません。

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息子が赤ちゃんの頃、自宅にて

 「自分が我慢すれば…」。働いている女性も、子育てに専念している女性も、どの選択をしても努力しても、茨の道に苦労しています。

放置されてきた、悪い冗談のような現実

 Girls just want to have fundamental human rights.「女の子だって基本的な人権がほしい」

 友人の娘が着ていたTシャツのロゴに書かれていた言葉。これは、アメリカの歌手シンディ・ローパーの曲のタイトル「Girls Just Want To Have Fun(女の子だって楽しみたい)」を下敷きにしたフレーズです。同世代の女性たちは、多かれ少なかれ、皆同じくこのような思いをもってモヤモヤしています。話しても理解されず、批判されるだけだと胸に秘めて。でも、女性たちが自分さえ我慢すればと考えているうちは、社会は変わらないとも思います。

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 3人目の育休を申請したら、「3人目? 犬じゃあるまいし」と言われた。

 「こちらが社員を育てようと思っているのに、育休明けたらすぐ2人目なんて何を考えているのか」

 「女性ばかりの職場だから妊娠は先輩が先。順番を考えて」

 誰もが希望するタイミングで子どもを授かることができるわけでもないのに、若い女性たちを取り巻く職場環境は、そうしたことを理解しない言動であふれています。

 会社員時代に子どもを産んだ友人は、妊娠を報告した時、女性の先輩にこんなことを言われて驚いたと言います。「保育園に確実に入れるように、0歳で預けるまでになるべく長く過ごせるようにみんな4〜6月に子どもが生まれるように妊娠する時期を考えてるんだよ。え? 7月生まれ? うーん、ギリギリおっけ〜!」。海外の友人が聞いたら言葉を失う悪い冗談のようなこんな現実を、日本は放置してきました。この日本の友人は、今、議員となり、こうした状況を変えるために働いています。

私も夫に押しつけていた、大黒柱の重荷

 結婚12年。夫を支えることを通して社会を変えることに貢献しようと思い、結婚後はフルタイムの仕事にはほとんどついてきませんでした。でも、昨年の衆院選で、夫が落選したらどうしようと不安に思ったとき、夫に大黒柱の重荷をずっと押し付けていた自分がいたことを感じました。努力だけでなんとかなる世界ではないし、子どもが生まれたことで、「もし落選しても2人で働けばなんとでもなる」とは思えなくなっていたことに気づかされたのです。

 20代の頃から、女だけが結婚か仕事か、育児か仕事かの選択をいまだに迫られる社会なんて間違っていると憤りを感じてきました。でも、ジェーン・スーさんが著書の中で「『女は家で子供を育てる』が下の句なら、『男は働いて妻子を養う』が上の句。その前提なしには下の句は成立しない」というようなお話をされていて、ようやく男性の人生のつらさにも目を開かされたと感じています。男に生まれたら最後、一生休みなく働き続けることを当然のことと期待されているのは、私だったらきついと思うからです。

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秋田県の紫陽花がきれいなお寺にて

 この夏ドイツに移住する友人は、「ドイツは5時にはみんな仕事を終える。日本はいつまでも仕事をしてるか、仕事をしてないかもしれないけど会社にいるからね」と。

 男女共に無理なく子育てをしながら働き続けられること。子育ての喜びを男女ともに実感できるように働き方を変えること。子どもを持ちたいと望んだ人が望んだタイミングで子どもを授かるために支援があること。いつ授かってもおめでとうと言ってもらえる社会にすること。

 男女の賃金格差の解消に大きな一歩となる賃金差の公表義務づけも発表されましたが、シングルマザーでも安心して働き、子育てをしながら十分な稼ぎを得られ、子育てを終えた老後も安心と思える社会にすることが必要です。そうでなければ、一人ひとりも幸せになれないし、国として少子化も解消しません。いまだに少子化対策として婚活支援だなどと思っている政治家がいるうちは物事は変わらないと切実に思います。若い世代、特に、若い女性たちが何に違和感を覚え、障害だと感じ、どんな環境なら子供を持っても大丈夫と思えるのか、望んだタイミングで誰もが子どもを授かるわけではないということや、不妊治療の様々な心身の苦しみなど、そこがわかる人たちが政治の場に増えることが、社会を変えるために必要だと痛感しています。

子育て中の女性が選挙に出る「条件」は

 この夏の参議院選挙を前に、候補者候補の説得に当たってきました。子育て中の女性が選挙に出てみようと思うには、同居家族が家事育児をしていて、子どももその家族に懐いていて、「これからもう少し自分が家事育児にかけられる時間が減ったとしてもなんとかなるだろう」と思えることが最低条件だと感じました。そして、核家族が多くなっている今、その同居家族とは多くの場合、パートナー、夫です。私自身もそうでしたが、そうでなくては、女性は選挙に出ることなど現実のこととして考えられないのだと思います。自分が忙しくなったら子どものことや家の中のことが滞ると感じたら、やっぱり躊躇してしまう方がほとんどではないかと。

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地元の夏祭りに喜んで付き合ってくれる息子と

 前回のコラムで、矢田わか子さんが、単身赴任をされているパートナーとのお子さんをワンオペで育ててこられ、地域の方に頼ってやってきたということを知り大変驚きました。でも、多くの方は矢田さんのようにパワフルウーマンにはなれないとも感じます。核家族が増え、自分が生まれ育った場所ではない街で子育てをしている方が多くなり、出産年齢も上がって実家にも頼れないという子育て家庭が増えてきている今、男性の家庭進出を進めていくことが、政治の世界に普通の女性が増えることの前提に必要だと感じます。そしてそれこそが、子育て周りの課題や女性の抱える課題を解決していくのに不可欠だと考えています。

 最後に、次のコラムを担当される浅野哲さんに質問です。中学生の娘さんがいらっしゃると聞きました。子どもが小さかった頃の育児とはまた違う苦労があるのではないでしょうか。大人になりつつある娘さんを育てるお父さんとして、気をつけていること、大変なこと、楽しいこと、教えてください。

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寺田静(てらた・しずか)

 秋田選挙区、当選1回、無所属。1975年3月、秋田県横手市生まれ。秋田県立横手城南高校中退後、大検に合格、早稲田大学人間科学部卒。東京大学生産技術研究所、フリースクール等でのボランティアスタッフ、国会議員の公設秘書などを経て、2019年7月の参院選で初当選した。子どもや女性を取り巻く課題、教育の多様性、地方が抱える課題、環境問題や動物愛護などに取り組む。夫と小学生の長男と3人暮らし。

(担当・坂田奈央)

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