「担任が足りない」「校長が授業」教員不足は夏休み前後が特に深刻 公立小中高の教職員アンケートで判明

榎本哲也 (2022年11月8日付 東京新聞朝刊)
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教員不足の実態のアンケート結果を公表する市民団体のメンバー=7日、東京・霞が関で

 市民団体が公立小中高校の教員不足の実態について現職教職員にアンケートを実施したところ、不足していると感じた時期について、小学校では「4月」が約3割だったのに対し、「7月末」と「9月」がそれぞれ約6割に上った。中学校もほぼ同じ傾向で、年度当初よりも夏休み前後に教員不足がより深刻になっている現状が浮かんだ。市民団体は「1学期当初は何とかやりくりしても、病気休暇や産休などの穴埋めができる教員を確保できない学校が多い」とみる。

病気休暇や産休の穴埋めができない

 末冨芳・日大教授(教育行政学)や教育研究家の妹尾昌俊さん、教育関係のNPO法人「School Voice Project」で構成する「 #教員不足をなくそう!緊急アクション 」が7日、結果を公表した。調査は9月10日~10月6日、SNSで呼びかけ、全国の公立小中高教員379人から回答を得た。

 (1)4月の始業式(2)4~7月末(3)9月-の3つの時期に分け、自身の勤務校で教員不足が起きていた(いる)かを質問。

  • 小学校教員は(1)33.2%(2)59.1%(3)58.9%
  • 中学は(1)49.6%(2)60.7%(3)54.2%
  • 高校は(1)20.6%(2)37.9%(3)28.2%

が、それぞれ「不足」と回答した。不足教員数はほとんどが1~2人だが、9月時点で「3人以上不足」と答えた小学校教員が7.5%いた。

 教員不足が生じた時の対応は「学級担任ではない教員を担任にあてる」「少人数指導担当など加配の教員をあてる」「管理職が担任を兼務」などが多かった。

 市民団体は7日、アンケート結果とともに、教員不足解消の対策推進を求めるネット署名1万9306人分を文部科学省に提出した。

教員が明かす実情「70代が養護教諭」「コンビニ駐車場で爆睡」

 教員不足アンケートで、教員が自由記述欄に記載した主な内容は以下の通り(一部表現を修正)。

 「4月時点で2人欠員。さらに学年主任らが病欠になり、計6人欠員。児童のけがも増え、もう限界」(熊本県、特別支援学校)

 「『始業式までにはなんとかなる』と市教委から言われていた教員が配置されず、校長が特別支援学級の授業を行うことになった」(神奈川県、小学校)

 「50代後半の理科専科です。フルに授業をして、教材研究や実験準備は全て放課後。残業は夜8~10時まで。帰りがけ、疲労が半端なく運転不可能で、コンビニの駐車場で車内で爆睡し、明け方に家に着くことが何度もありました」(神奈川県、中学校)

 「小4、年中の子育てをしながら勤務しています。女子バスケ部の顧問もしていて放課後は部活終了の18時までベタ付きが基本。授業準備の時間に放課後をあてるのが難しい。本当はもう少し保育園に早くお迎えに行きたいし、休日も部活ではなく、わが子と過ごしたり家事に時間を充てたい」(大阪府、中学校)

 「養護教諭は70代の方に来てもらっている」(大阪府、小学校)

 「担任が足りず、2人の管理職が兼任。休んだら迷惑をかける、絶対休めないという意識で仕事をしている」(埼玉県、中学校)

 「地域や家庭が担うべきことを学校にだけ求めないでほしい。保護者の過剰な主張に応えなければならないのが教員を疲弊させている」(神奈川県、小学校)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年11月8日

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  • キガネムシ says:

    「文部科学大臣、財務大臣を言い負かして、人件費をもぎ取って下さい」。元教員の真剣なお願いである。

    キガネムシ 男性 50代

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