「もう一回ぬれてきていい?」ぬれるために出ていった次男…〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉


やっとこさ、クーラーなしで寝られる今日この頃。季節の変わり目だからか、突然大雨になることが多い。登校時、雨が降っていなければ、どれだけ言っても、傘を持って行きたがらない子どもたちは、もちろんずぶぬれで帰宅。
次男は靴の中までグショグショにして帰ってきたのに「もう一回ぬれてきていい?」と、わざわざぬれるために雨の中、出ていった。
「服脱いでいけば?」と言っても「着てるのがいいんじゃん」。粋じゃないねえ、みたいな顔で言う。確かに気持ちよさそうだ。まるで、映画「ショーシャンクの空に」みたいだ。見たことないけど。

ぬれてもいない三男と四男まで、つられて外に飛び出した。「おい、やめてくれ!」と言う声もむなしく「イエーイ! ヒャッホー!」とずぶぬれで叫ぶ子どもたち。まるで、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」みたいだ。この映画も見ていない。「パパも来ればいいじゃん。気持ちいいよ」と誘われる。丁重にお断りした。

最近、妻がお隣の奥さんと、市の体育館にあるジムに通い始めた。その初日のこと。「お互いの体重を教え合ったの!」。キャッキャッキャと恥ずかしそうに、爆笑しながら妻は教えてくれたが、なにが面白いのかわからない。「私の方が1キロちょい重かったの! 言っとくけど、これはトップシークレットだからね」と口の前に指を立てた。この秘密に興味ある人はいないと思う。
「ねえ、なんか筋肉ついてきてない?」と力こぶをつくる気の早い妻に「何か運動したら? 一緒にジム行ってみる?」と誘われた。丁重にお断りした。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。15歳、12歳、8歳、5歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
お知らせ
加瀬健太郎さんの写真集「ABC」刊行を記念した写真展が10月10日~11月1日、東京都渋谷区鶯谷町5の東塔堂で開かれます。
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