【RSウイルス】乳幼児の重症化を防ぐために プレママ・パパが知っておきたい最新の予防と対策とは?〈PR〉

羅ことい先生の写真

 世界中に存在するRSウイルスは、喉や気管支などの呼吸器に感染するありふれた風邪ウイルスの一種。とはいえ感染力が強く、2歳までにほぼ100%の子どもが感染し(※1)、特に初めて感染する赤ちゃんは重症化しやすいことが知られています(※2)。第2回では、産婦人科医の羅(つらね)ことい先生に予防と対策について詳しく伺いました。
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感染力が強く、新生児でも感染するウイルス

ーRSウイルス感染症について、改めておさらいをお願いします。
 
羅ことい先生(以下、羅先生) RSウイルスは、のどや気管支など呼吸器に感染する、世界中どこにでも存在するウイルスの一種。くしゃみや咳による飛沫感染、ウイルスが付着したものに触れることによる接触感染でうつります(※3)。一方で感染力が強く、1歳までに半数以上、2歳までにほぼ全員の子どもが感染する(※1)ことが知られています。
 
潜伏期間は4〜5日で、初めて感染した乳幼児の約7割は鼻水などの上気道炎症状で数日のうちに回復していきますが、約3割では強いせきやゼーゼーとした呼吸、呼吸困難などが現れるほか、重症化すると気管支炎や肺炎などになるといわれています(※1 ※3)。実際に国内では2歳未満のRSウイルス感染による受診者は毎年10万人以上と推定されていて、その4人に1人は入院を経験していたという報告があります(※2)。

一方で、RSウイルスに対する治療薬はなく、感染した場合は症状をやわらげるための治療(酸素の投与、点滴、呼吸管理など)を行うしかありません(※3)。またRSウイルスは一度感染し免疫ができても、繰り返し感染する可能性があります。成長の過程で少しずつウイルスに対応する免疫が作られていくのも特徴です。

なかでも重症化の可能性が高いのが、初めて感染する生後6カ月未満の赤ちゃん。重症化のピークは生後1〜2カ月です(※2)。生まれて間もない赤ちゃんは大人に比べると気道もせまく、免疫を十分に持たないため感染しやすく、重症化しやすいのです。そのほか早産・低体重で生まれてきた赤ちゃんや、肺や心臓に病気があったり、免疫不全やダウン症などのあるお子さんは重症化する可能性が高い(※2)といわれています。

一方で注目したいのは、入院した乳幼児のうちの約9割は、心臓や肺の病気などの基礎疾患を持っていないお子さんであること(※2)。その理由の一つとして、重症化リスクのあるお子さんはRSウイルスの感染・重症化を抑制する薬(抗体薬)が保険適用で投与できるためと考えられます。

治療薬がないRSウイルス感染症から赤ちゃんを守るために

ーRSウイルス感染症は治療薬がなく、赤ちゃんが重症化しやすいのですね。赤ちゃんを守るためにできる対策について教えてください。まず、家庭ではどのような対策ができますか?

羅先生 インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などと同じく、接触感染・飛沫感染を避けることが基本です。前回お話しした通り、人はRSウイルスに繰り返し感染しながらそれぞれのウイルスに対応する免疫を獲得し、徐々に軽症化していきます。そのため、大人や兄姉が気づかないうちに赤ちゃんに感染させてしまうケースも少なくありません。だからこそ、大人や家族など周りが予防対策を徹底して行うことが大切なのです。

具体的には、家族全員の手洗いや手指の消毒、子どものおもちゃや手すりなどの共用部分を清潔に保つこと、せきや鼻水など風邪症状のある人との接触を避けること。流行時期には人が集まる場所や、保育施設、兄姉との接触にも注意が必要です。こうした基本的な対策をしっかりと行うことが、乳幼児を感染から守ることにつながります(※3)。

ー医療の面からできる対策はありますか?

羅先生 生まれてくるお子さんの感染・重症化予防を目的に妊婦さんに接種するRSウイルスのワクチンがあります。これは妊娠後期の妊婦さんにワクチンを接種することで、お母さんの身体の中で作られた抗体(免疫)を胎盤を通して赤ちゃんに届ける「母児免疫(母子免疫)化」という仕組みを利用したワクチンのこと。お母さんのお腹のなかで胎児が抗体をもらうことで、生後間もない赤ちゃんの感染や重症化を予防することができます。

また、産まれた後からのRSウイルスの感染予防としては、赤ちゃんに直接抗体薬を投与し、ウイルスの働きを抑える注射薬があります。抗体薬は予防を目的とするものと、例えば早産・低体重で生まれてきた赤ちゃんや、肺や心臓に病気があるお子さん、免疫不全やダウン症などの一部の重症化の可能性が高いお子さんには、保険適用で重症化抑制を目的とした投与が認められているものがあります。

気になる人はぜひ医師に相談してみてください。

正しい情報を知り、赤ちゃんと家族の感染対策を

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ー今回はRSウイルスの予防と対策について伺いました。最後に妊婦さんや保護者の方にメッセージをお願いします。

羅先生 RSウイルスへの感染は赤ちゃんの身体的負担はもちろん、保護者の方の身体的・精神的・経済的な影響も大きいものです(※4)。今回お話ししてきたような予防対策を知り、赤ちゃんとご家族の負担を減らすことは、ご家族や社会にとって大きな意義があることだと考えています。

みなさんが正しい知識を得て、ご自身で咀嚼をしていただくなかで、赤ちゃんとご家族の方にとってより良い選択肢が増えていくことを願っています。

RSウイルスについてもっと知りたい方はこちら

専門家プロフィール
羅(つらね)ことい先生 
東京科学大学 医系診療部門・小児・周産・女性診療領域 周産・女性診療科 助教。産婦人科専門医、周産期専門医(母体・胎児)、超音波専門医、臨床遺伝専門医ほか。旧東京医科歯科大学にて周産・女性診療科助教などを経て、2023年より現職。研究テーマは妊娠中のワクチン接種、合併症妊娠、プレコンセプションケア、胎児診断など。

データ:

1 堤裕幸: ウイルス 55(1): 77, 2005

2  Kobayashi Y et al.: Pediatr Int 64(1): e14957, 2022

3 厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A(令和6年5月31日改訂)

 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html (2025年10月時点)

4 関根英輝ほか: 新薬と臨牀 73(6): 557, 2024

ABR45P060A
2025年10月作成

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